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召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
地球転生編第二部

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地球転生編 2-84 最神玲、テロリストと間違われる?(後編)

最神玲、テロリストと間違われる?(後編)


にくたま軍団が追跡中の運送用トラックに乗った特殊部隊員の行方だが、最神玲はにくたまの大体の場所は把握できるので、早速転移門を通じて現在の状況を確認することにした。ちなみに、召喚術師は自分が召喚した物の位置を把握することが出来るが、これは玲に限った話ではなく、物部かすみも把握できる。ただし、距離が離れるに従いその精度は落ちてくるが、玲の場合は元々持っている召喚エネルギーが膨大なため、召喚エネルギーを消費して追跡精度を保つことは可能である。もし召喚物の位置を把握できないと、例えば契約召喚した野獣や猛獣が、誤って味方を攻撃しようとした時、その位置を把握して契約解除出来ないと、味方を全滅させかねない。従って、召喚術師は養成学院時代に必ずこの技術を身に着ける訓練を徹底的にするのだ。そして、玲が追跡精度を上げて確認すると、まだ米野市内を走行中であった。何となく高速に乗ってどこかに向かう気配がありそうなので、暫く時間を置くことにした。


 その間、滅茶苦茶にされた自宅をどうするか、と言う問題を片付けることにした。電化製品などは殆ど玲が召喚した物なので、再召喚すれば問題なく使える。ただ、窓ガラスは召喚して元に戻すことは可能だが、何かの拍子にうっかり召喚解除しないこともないため、やはりちゃんと補修すべきと考えた。だが今は真夜中であるため、当然どこの業者も開いていない。そんなことを考えているとき、外から人の声が聞こえてきた。どうやら、神社に賊が侵入したのではないか、という近所の人からの通報で、警察官が駆け付けてきたようだ。そこで、玲とかすみは、警察官を自宅に案内して、現状を確認してもらうことにした。こういう光景に見慣れているであろう警察官でさえも、余りの惨状のせいか、暫し茫然と立ち(すく)んだ。そして漸く、「君たち、よく無事だったね」と言葉を掛けてくれた。そして一通り検証してから、社務所を開けて、そこで何が起きたかを知る限りの範囲で警察官に話した。その後、「ところで、君たちこれからどうするの?」と聞かれたが、幸い空き部屋だけはなぜか無傷だったので、そこで暫く生活することにしますと答えておいた。その後被害届を出すために、玲が警察官と一緒に差間見町の交番まで出向き、その帰りに人気のないところから自宅に転移して、かすみと一緒に追跡中のにくたま軍団の様子を確認することにした。すると、


  「かすみ、ここって、どこなの?」


  「ん?何か東京近郊だね。

   えーと何か滑走路がちらっと見えたけど」


と言うことで、にくたま軍団の位置と、スマホの地図アプリから推測したところ、どうやら東京近郊にある米軍の管理する基地だということが分かった。まあ、確かに尋問した兵士は所属がデルタフォースとか言っていたから大体想像はついたのだが、改めて確認すると、なぜ自分達が彼らに狙われたのか、全く予想がつかないのだ。とりあえず、一度自分たちの部屋に戻ることにしたが、かすみの部屋からは


  「もう、なんなんあいつら、めっちゃ腹立つ!!」


と、まだかなりご立腹なかすみの大きな声が玲の部屋まで聞こえてきた。それもそのはず、かすみの部屋の衣装が催涙ガスか何かの影響で酷い状況なのである。まあ、それらは洗濯すれば問題ないのだが、それよりも、


  「この借りはしっかり返さないとな、かすみ」


と玲も、何やら怒りに震えている様子でかすみに大声で話した。ちなみに、玲の部屋の惨状は、果たして侵入者によるのか、はたまた元からなのかの判別は残念ながら出来ない。


 その後、何かにくたま軍団に動きがあったようなので、かすみの所に向かい、早速転移門で確認すると、


  「誰なん、こいつ?」


とかすみが転移門を覗き込みながら一人毒づいた。そこに映る人物は、年齢は40代前後で金髪、顔は暗くて判別できないが、体格は恰幅の良さから軍人とも思われたが、スーツの着こなしから、むしろ文人というか、もしかして大使館の人間か、と思われた。その人物が襲撃部隊の隊長らしき人物と倉庫か格納庫のような場所で話し込んでいる様子が確認された。そこでにくたま軍団には、その人物の追跡を依頼する術式を加えた。それから暫くして、その人物が建物内に停めていた車に乗って出て行き、また少し経ってから基地のゲートを出て車で都内に向かうのが確認された。ちなみにその車は青地に白文字で番号が書かれていたので、外交官専用の車であることは間違いなかった。それから2時間後、辺りが少しずつ明るくなってきた頃、にくたま軍団の動きからその人物の位置を特定して転移門で確認したところ、


  「やはり、外交官なのかな?」


と玲は一人呟いた。ちなみに、かすみは疲れ果てて只今空き部屋のベッドで睡眠中である。だが、今は緊急事態と言うことで、早速玲は空き部屋に向かい、かすみをたたき起こした。文字通り、かすみを叩いて起こしたのだが、


  「かすみ、これから殴り込みに行くけど、

   どうする?」


と一応かすみに尋ねた。かすみは寝ぼけ眼ながら、「ん、はぁ~、勿論、うちも行くよ~」と欠伸しながら言うので、早速奇跡的に催涙ガスからの難を逃れたM&Mの夏用制服に着替えて出動することにした。この家には元々クローゼットの類が無いため、玲もかすみも普段から殆ど着ない衣類は、密閉式の衣装ケースに入れておくのだが、それが功を奏した。そして、着替えた2人が向かう先は、その外交官が宿泊する専用の住宅である。


 その場所は、東京の赤坂にある大使館近くの外交官宿舎の中にあった。早速玲とかすみは問題の外交官の暮らす住宅の寝室に転移していった。丁度その外交官は眠りについて暫く経った頃だったが、玲が彼の耳元で大声を出したため、ビックリして飛び起きた。一体何が起きたんだ?と言う表情のまま固まってしまったが。


  「おい、こら、先程襲撃を受けた

   最神玲と物部かすみだが、

   一体何であんな仕打ちを受けなきゃ

   いけないんだ?」


とまずは素朴な疑問を投げかけた。ただ、残念ながら、その男は一体自分に何が起きたのか理解できていないため、口をあんぐりと開けたまま呆けたように固まっていた。そこで、玲は気合を入れるために、その男の頬をビンタした。すると、


  「・・・!!」


何やら英語でまくし立てたので、今度はかすみが同じ質問を繰り返した。すると、


  「お、お、お前たちは、な、何者だ?」


と日本語で頓珍漢な答えが返って来た。これにはかすみは、「はあ?」である。


  「お前の指示でうちらの所に特殊部隊を送り込んで、

   それで態々こちらから出向いたのに、

   お前ら何者かだと、お前アホか!!」


とかすみは大声で捲し立てるくらい相当ご立腹の様子。ちなみに、かすみの腹立ちは、襲われたことに加えて、この時間は美容のためにも絶対欠かせない睡眠中であるはずなのだが、それを邪魔されたことへの腹いせもある。その時、玲とかすみの大声が聞こえたのか、部屋の扉の外で何やら騒ぐ声がしたので、玲は面倒くさくなり、外の連中をどこかに転移させた。そして、急に静かになったことに不安を覚えたその男は、漸く事態を飲み込んだようで、すぐさまベッドから飛び降りるや、床の上で文字通り土下座したのだった。これを見たかすみは、「あれ、アメリカ人って土下座するの?」であったが、玲には全くピンと来ないのはまあその通りであろう。そして、その男は玲とかすみに対し土下座しながら次のような事を話し出した。


 自分は米国大使館に勤める駐在武官のトーマスと言いい、国防総省から派遣されているという。そして自分の任務は本国のある人物からの依頼で動いており、その内容は、日本に住む霊能力者のレイ・モカミとカスミ・モノベを本国に連れてくることだという。それ以外は何も指示をされていないため詳細は分からないとのことだ。そこで、玲は先程特殊部隊員に行ったのと同じ魂を分離しての尋問を行うことにした。すると、


  「へー、国防総省のトップからの指示なの。

   それって、あの人のことか?」


とかすみは言うのだが、玲も何か思い出して、「あー、この間テレビに出てた人か」となった。その人物は、国防長官のダニエル・ヘンドリクソンである。ところでなぜ玲とかすみがこの人物を知っていたのかと言うと、遡ること数週間前、ワシントン郊外で狙撃事件が発生した。狙撃対象は国防長官のヘンドリクソンであったが、偶々夫人と同行していた時に狙撃され、本人は腕に怪我を負っただけだったが、夫人の方は胸に銃弾を受けて現在も意識不明の重体だという。そんなニュースが流れていたのを偶々覚えていたのだった。なお、その狙撃犯はまだ捕まっておらず、現在もFBIが捜索中であった。だが、玲もかすみも解せないのは、なぜそのような人物が自分達を拉致してまでアメリカに連れて行こうとしたのか?そうすると、またかすみは、「もしかして、その狙撃犯って、玲か?」とニヤニヤしながら頓珍漢なことを言い出す始末。全く、かすみの想像力はその程度なのか、と玲も負けずに応酬した。それよりも、状況は分かったので、その男の魂を元の体に戻した。やがてトーマスは目覚めたが、一体自分に何が起きたのかは全く覚えていない。だが、目の前にいる男女が何やらニヤニヤしている様子を見た途端、背筋に寒気を覚えたのだった。


  「トーマスさん、僕らアメリカに行くのは

   良いんですが、その前に僕らの家を

   元に戻してもらいたいんですよ。

   そうしないと僕ら住むところが無くなるので」


と有無を言わせぬ迫力で玲はトーマスに迫った。勿論、弁償はわが国の責任で取らせてもらうと確約させ、早速修繕に向かわせると請け負ったが、アメリカ仕様にされても困るので、こちらで修繕して、その経費を請求するのでそれを払ってくれと伝えて了解を得た。そして玲とかすみがアメリカに向かう日だが、どうも急を要するらしいということで、今週金曜日の午後9時に東京近郊の米軍が管理する飛行場に向かうことになった。なお、当初はヘリコプターで迎えに行くと申し出たが、流石に夜にヘリで来られても近所迷惑で困るので、自分達がそちらに行くと伝えて、これも渋々と言うか了解してもらった。一応、ここでの仕事は済んだので、玲とかすみはその部屋を去って行った。勿論、途中で警備の者達に出くわす前に転移したのは言うまでもない。



 自宅に戻っても、家が元の姿になっている訳ではなく、仕方ないからかすみはまた空き部屋にて寝ることにした。玲は一応部屋の片づけをすることにしたが、殆どが召喚した物なので、一度召喚を解除した。後は床に散乱したガラス片の片づけと、ハンガーにぶら提げたままの衣服の洗濯などをして何とか神社の仕事開始までには終えたのだった。ちなみにかすみは、まだ夢の中である。仕方なく、玲は一人社務所に向かって、掃除道具一式を取り出して、拝殿に向かおうとした。その時、石段を駆け上がって来た人物が視界の隅に入ったのでそちらに振り向くと、この神社の管理者である神薙宗座衛門(かんなぎそうざえもん)が駆け寄ってくるところであった。


  「最神さん、昨晩はとんだ災難だったそうですね。

   心中お察しします」


  「恐れ入ります、神薙さん。

   ええ、もう滅茶苦茶ですけど、

   幸い空き部屋だけは無傷だったので、

   今はかすみがそこで休んでます」


  「そうですか。

   お2人とも怪我とかはされてませんか?」


  「ええ、幸い直ぐ逃げ出したので、

   僕らは全く怪我とかはありません。

   ご心配おかけしました」


と頭を下げる玲であった。そして、玲は宗座衛門を従えて、家の状況を確認してもらうことにした。玲とかすみの部屋、そしてリビングが酷い状況である。それよりも、宗座衛門は気になる点を見つけた。それは、


  「最神さん、これって、何やら銃撃痕ですか?」


見ると、確かに規則的に開けられた穴がリビングの壁に確認された。恐らく、にくたまが連中を襲った時に銃撃した痕だろうか。さてそうなると、宗座衛門にはこのまま隠し通すべきか、下手な隠し立てはやめた方が良いのか判断に迷っていたが、丁度その時、かすみが起き出してきて、宗座衛門を見るなり


  「叔父さん、ちょっと、これ酷くない!!」


と宗座衛門に八つ当たりするは、挙句の果てに「うちら誰にも何も迷惑かけずにここで暮らしているだけなのに」と言って泣き出してしまった。これには宗座衛門もどうすることも出来ず、とりあえず玲に「最神さん、急ぎ窓の修理を手配するね」と言いおいて、彼らの自宅を後にした。宗座衛門が去っていく姿を見た途端、かすみはけろっとして、「はー、演技も疲れるわ」と溜息をついた。え、これって演技だったの?とかすみに問い掛けると、どうやら銃撃痕の話を聞いていたようで、流石に昨晩のことを話すのは無理だろうという判断からとった行動だったのだ。これには玲もかすみの咄嗟の行動に心から感謝した。もう少しで特殊部隊のことや米軍が関係していることを話すところだったのだ。


  「もう、玲、そんなことくらいで、

   ポロっと話したりしたらあかんからね」


とかすみに釘を刺されてしまった。何時もポロっと話し出すのはかすみの方なのだが、この時は玲もかすみに平謝りであった。しかし、この銃撃痕はやたらと目立つのだが、その時玲はある職人集団を召喚することを思いついた。


  「玲、この人達は何者なん?」


とかすみが聞いてきたので、玲は、


  「あー、普通の大工さん達。確かね、

   木の柱とか床に空いた穴を塞ぐ技術があるとか、

   そんな番組だったか本だったかを見たことが

   あったんで、それをやってもらおうと思って

   召喚したんだ」


なお、使用する木片は、玲がにくたまの出入り口を作るために外壁を()()いたが、その時の破材を物置にしまっておいたので、それで流用できることを思い出した。そこで早速、木片を持ってきて大工集団に指示して作業を行ってもらった。そして、1時間後には、そこに銃撃痕があったのか分からない位に見事に仕上げた。そして午後になって、漸く宗座衛門が頼んでいたガラス屋がやって来て、破損したガラス窓やガラス扉を全て新しく仕上げてくれた。これで玲もかすみも、問題なく普段通りの生活を送ることが出来るようになった。なお、かすみの方では割れたガラス窓の破片によって一部の洋服に破れなどの破損があったりしたが、幸いタチアナ特性の特殊な洋服は密閉ケースに保管していたので、難を逃れることが出来た。もしこの洋服に何かあろうものなら、恐らくかすみは米軍相手であっても一歩も引かず戦っただろう。それ位の凄まじい怒りが爆発するところだったのだ。


 さて、彼らに何時もの日常が戻って来たが、本番はこれからであった。


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