地球転生編 1-2 退院
退院
さて、酷い交通事故により意識不明の重体に陥っていた最神玲は、事故の代償として記憶を無くすアクシデントに見舞われつつも何とか無事に意識を回復させた。また衰えた筋肉を復活させるリハビリも苦しみながら順調に進んだとことで、何とか後遺症が残ることなく日常生活が送れるまでに回復してきた。そして、いよいよ退院する日が決まったのである。
ところで、彼が入院中は、先ず彼の両親と兄が早速意識が回復した翌日に来院し、息子と弟の無事な姿を見て、皆涙を流して彼を抱きしめた。なお、最神玲本人とは関係のないカーンも、流石に真実を打ち明けることは出来ないと判断し、最神玲本人に代わり皆に心配かけたことを謝った。その後、最神玲の友人も何人か見舞いに来たものの、誰が誰なのか全く分からないため、とりあえず何となく話をあわせたりして時を過ごした。そんな中、物部かすみと言う同い年の女性にだけは、玲の置かれている状態が見透かされていたようだ。
「玲、記憶ないんじゃないの?」
とズバリ指摘され戸惑う玲。サリもそうだが、女性の感ってやっぱ侮れないよね、と思う最神玲ことカーンであった。結局、事故前の記憶がないことを彼女に正直に伝えることに。でも、そんな玲に対して、かすみは優しく「一緒に思い出せるように手伝うよ」、と声を掛けて励ました。その雰囲気は、カーンに対しなんとなくサリを思い出させたようだが、勿論サリとは雰囲気が似てるだけで外見は全く異なることは分かっている。物部かすみは、ブラウンのナチュラルボブが似合う少し丸顔の、でも大きな目元がぱっちりした可愛く愛くるしい感じの女性である。そして、そんなかすみは、有言実行するが如く、毎日のように病室に寄っては他愛もない会話をして、玲が記憶を取り戻す手助けをしていたのである。そんな物部かすみに対し、最神玲ことカーンは、彼女の優しさに感謝し、心の中で最神玲本人に代わって、お礼を述べるのであった。
そしていよいよ、退院の日を迎えた。朝から最神玲の両親が退院手続きや、お世話になった主治医や看護師さに挨拶して、昼前には病院を出ることが出来た。ところで、病院で意識を回復してから退院するまで、最神玲ことカーンは、彼のこれまでの(短い)人生を何回、何十回と繰り返してもありそうもないくらいの驚きを連発していた。残念ながら、その全てを伝えるのは彼の記憶容量的に不可能なため、最神玲の実家にある彼の机の中から見つけた鉛筆とノートにその時の驚きや感想を書き込むことにした。実は、鉛筆とノートはサモナルドでも普通に存在しており、何で全く同じ物が異なる世界にあるのか、玲は不思議に感じていた。何れにしても、この鉛筆とノートで書き綴った彼の言葉は、もし将来サモナルドに戻る機会があったら、後世に自分の体験を自分の言葉で後の人達に伝えたいという気持ちを込めて、日記風にまとめてみることにした。ただし、日付の概念が全く分からないので、それは省略されることになる。




