表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
地球転生編第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/290

地球転生編 2-31 物部かすみ、昔を思い出す

物部かすみ、昔を思い出す


4月に入って暫く経ったある日。仕事も少しずつ馴染んできて、漸く気持ちにゆとりが出て来た。そして、最神玲と分担しながら日常の清掃作業や事務作業をこなせるようになったのだが、その時ふと宝物殿の傍に咲き誇る満開のソメイヨシノを社務所から眺めた時、つい昔の事を思い出したのである。そう言えば4年前の今頃だったか、その時も東洛(とうらく)総合大学の構内は桜が満開だったな、と思い出すかすみである。そして入学して最初のオリエンテーションか何かで最神玲と初めて会ったんだ、と懐かしむのである。玲とかすみは、東洛総合大学の文化人類学科の同級生。しかもオリエンテーションか何かで、初めて教室に入って担任の教授から色々と話を聞いていた時、丁度かすみの隣の席に居たのが玲であった。席順は単に五十音順となっており、偶然にも彼らの苗字が同じ「も」から始まるだけのことだったのだが。ちなみに、その時のかすみの玲に対する印象は「何だこいつ、めっちゃチャラそうやん。あかん、自分無理やわ、こんなん」という物凄くネガティブな印象であった。一方の玲はと言うと、かすみを見て「おー、めっちゃ可愛いじゃん、後でランチ誘おう」であった。残念ながら当時の玲の誘いはあえなく撃沈となった。とろこが、何がどう転ぶのか人生とは分からないものである。


 最神玲はかなりのビビりであるにもかかわらず無類の心霊マニアである。そのためか、真っ先に心霊サークルの門を叩いてサークルへの入会を果たすのであった。一方のかすみは、心霊とかに興味はあるものの、積極的に心霊スポットに行くとか肝試しするほどではなかった。だが、一緒に入学した高校時代からの親友が大の心霊マニアで、彼女の誘いで心霊サークルに行ったのが運の尽き。その後なぜかかすみを誘った親友は、心霊サークルを辞めて別のサークルに行ってしまい、後にはかすみだけが残されることになった。そこで仕方なくそのまま居つくのだが、新歓コンパで玲と話すうちに、「こいつ、めっちゃオモロイやん」と少しだけ玲への好感度が上がったのである(ちなみに、当時のかすみの好感度は、単に「おもろい」か「おもろない」で判断されていた)。


 ところで、玲とかすみは昔から恋人同士で付き合っているのかと言うと、決してそう言う関係ではなかった。特に事故前の玲とは、どちらかと言うと、友達以上恋人未満というところか。まあ、今となっては確認しようもないが、事故前の玲はもしかしたらかすみと恋人関係にと思っていたかもしれない。ただ、かすみの方は、玲と遊んだりするのは楽しいが、それ以上の関係を望んでいたとは考えていなかったのであった。でも、一緒にいる時間が長くなるにつれて、少しずつ意識しだしたことは否定しないのであるが。そんなときに、1年前の大型連休中に、玲は交通事故の巻き添えを食らって、意識不明の重体に陥ったのである。かすみがこの知らせを帰省先の実家で聞いたとき、血の気が引く程のショックを受けたのを今でもはっきり思い出す。そして、この時になって、自分が玲の存在をどれだけ意識していたかを思い知ったのであった。その後玲の意識が回復したとの知らせを受けた時は真っ先に病院に見舞いに行ったのだが、そこでショックだったのが彼の記憶喪失であった。よく映画やドラマで、事故で記憶を無くすとかの話があったりするが、まさか自分の知る人にそんなことが起きるとは夢にも思わなかった。でも映画などではその後記憶が戻って目出度し目出度しのハッピーエンドを迎えるのだが、玲の場合はそんな気配が全くない。もしこのまま記憶が戻らない状態だったら、自分と玲の3年間はどうなるんだろう、と不安になったことを今も記憶している。


 ところが、後日分かったことだが、玲は記憶喪失ではなく、全く別人になっていたのであった。この告白を本人から聞いたときは、最初「玲、私を揶揄(からか)ってるんか?」と思い、次に「まだ、そんなこと言ってんの、もう聞き飽きた」になり、更に「いい加減にせーよ、玲」となったのだ。ところが、本人に悪びれるとか、悪戯心があったとかは全くなく、本当に全くの別人が入っていたことを知った時は、気を失いそうになったのである。だが、事故後の玲を全く嫌うとか、嫌悪したかと言うとそれは一切なく、また新たな最神玲と知り合ったんだという、自分を何か前向きな気持ちにさせてくれたことに正直驚いたことをよく覚えている。とにかく、事故後の玲は、軽さとかチャラさとかとは全く無縁な、大人しく、少し弱気なところがあるが、自分の心の芯に何か一本の柱を据えているような、そんな印象をかすみに与えたのである。



 そして、事故後の玲を通じて、まさか自分が高級ブランドロムリアの代表であるタチアナと親しくさせてもらうなど、誰がこんな人生を予想しただろうか。これも、今の玲のお陰であるし、これからも新しい出会いをさせてくれそうだという期待を彼に抱くのである。こうして見ると、何か玲を利用している感じでもあるが、玲に言わせるとかすみのお陰で色々と地球での人生を楽しめるようになったというのである。そう言う意味では、お互いウィンウィンの関係であろうか。


そして最近では、「もう少し関係を進めても良いかな」、と思うかすみであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ