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召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
異世界サモナルド編第一部

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サモナルド編1-3 サリとのデート

サリとのデート


とりあえず、予備実験も上手くいって、後は5日後に予定している大規模実験を迎えるだけ。やっと少し気が楽になりまして、今日サリの誕生日を迎えました。予定より少し早めに執務室を出ようとしたところで、


  「あっ」


プレゼントをカバンに入れ忘れていたことに気づく僕。つくづく抜けているなー。今日一番大事なものなのにね。直ぐに机の引き出しを開けて、プレゼントをカバンにしまいました。さて、出直し、と歩を進めたところで、


  「あーっ」


とまた絶句。今度は着替えるのを忘れていた僕。こんな仕事着で行くのは流石に失礼極まりない訳で(絶対明日以降口きいてもらえないことが確実視されます)。でも普段でも軍から支給される物かしか着ないため、こういう日に着る衣服を実は持っていないんです。でも、そこは召喚術師。召喚術で好きな衣服を召喚できるんですが、


  「あーーっ」


とまたしても本日3回目の絶叫。召喚する衣服の術式をもってないことに気づきました。どうしよう。そうだ、とりあえず、研究所に残っているイケメン君を探して、何か見せてもらおう。


 ところが、こういう日に限って該当する研究員は不在でした。くそー。とりあえず、まだ時間はあるから、旧市街にあるお店に行ってみるか。実は旧市街にどういう店があるかよく分からない僕ですが、何かのきっかけで行ったか近くを通ったことがある、かなりお高いブランド物ばかり取り揃えている老舗の[ファルマー]、取りあえずそこに行ってみることに。この店は上流階級御用達だそうで、僕には全く縁のない世界だったんですが、まさかこんな感じの出会いになるとは。とりあえず意を決して中に入ることに。さすがに女性物が圧倒的に多いですが、男性物もちゃんとありました。ちなみに、召喚術師なら誰でもそうですが、見た物や触れた物が召喚できる場合、そこに召喚術式が見えるので、買わずに召喚して利用することが出来ます。ただ、全ての品物がそうなるわけではなく、高級品とかは真似されないように召喚術式が表示されないような対策が施されたりします。こういう術式を施せることが最近出来るようになったようで、残念ながらこの店の全ての品はそうなっていました。そりゃそうしないと、食っていけないもんね。とりあえず、自分に似合いそうなものを探していますが、これがなかなか見つからず。結局店員さんにお願いして見繕って頂きました。えー、これ似合うかなあ、こんなの自分の生涯で絶対選ばないものだよな、とか呟きつつ、何とか妥協できるものを見繕ってもらうことに。おー、結構なお値段ですこと。まあ、仕方ない、手持ちはあるので、即金で無事お買い上げ。ただ、ここで時間を潰しすぎたため、家に帰って着替える時間がありません。そこでやむなく、お店の人にお願いして、ここで着替えさせてもらうことに。序(ついで)に、今着ている分は後日取りに戻りますと伝えて、いざ待ち合わせの場所に漸く向かうことが出来ました。何か余裕持っていたのに、結局今は全く余裕がありません。なんで?



  「ゴメン、待たせちゃった?」


  「うんうん、私も今着いたところだけど…」


そりゃ目が点になってしばたたくよね。こんな姿一度も見せたことないし(自分でも着たことないし)。


  「あー、似合ってないかな。はは」


  「そ、そんな、凄く素敵ですよ。

   ただ、何時も見慣れた仕事着とは

   全然雰囲気が違うんで、

   一瞬誰、と二度見しちゃいました」


うん、何だろう、何か動揺しているな、サリ。まあ、確かに最新の流行物だそうで、この見た目でこの服装なので人目を惹くのは間違いないか。僕のファルマーで選んでもらった服装は、白いシャツの上に白いスーツベスト、下は黒の革のパンツと黒のブーツ、そして黒の前側に金の刺繍の入ったロングコートという出で立ち。どこかの貴族か何かですか、という何時もの自分を絶対に想像させない衣装です。あるいは、服よりもそれとは不釣り合いな僕の存在が異様だったりして。殆ど自虐です。一方のサリは、刺繍を編み込んだ白のロングワンピースにミントグリーンのカーディガン、足元はベージュのストラップサンダルというシンプルだけど透明感のある華憐な装い、しかも髪をアップにしてその上にこのお顔立ちなので、こちらも人目を惹くこと間違いなし。


  「サリの方こそ、何時もとは違って

   凄くエレガントというか、

   上流階級のお嬢様という雰囲気を醸し出してるよ」


  「あら、ご存じなかったかしら。

   私、こう見えてもお嬢様ですが」


おーほほほほ、という言葉が出てこなかっただけましですが。そんなこんなで、とりあえず無事合流出来まして、いざ劇場へ。


 2時間程の観劇後、劇場近くの有名なレストランで食事をとることに。予め予約をしておいたので、そのままスムースに店内に案内されました。店の中は観劇帰りの人達で満席状態です。良かった、予約しておいて。夜はコース料理のみのため、飲み物のワインだけを注文することに。前菜と共にワインが運ばれてきて、お互いのグラスに注いで、乾杯!


  「今日の演劇って、大召喚術師セラスティナの

   冒険記ということだったけど、

   なかなかに面白い設定だったよね」


  「そうね、今までは召喚物の演劇と言えば

   大召喚術師エンペラールが中心だったけどね。

   ただ、どれも似たり寄ったりな設定で

   平凡になってたような気がしたから、

   今回の演劇は私も楽しめたわ」


大召喚術師セラスティナは、大召喚術師エンペラールの一番弟子と言われており、その召喚術は師匠に並ぶとも評される、召喚術師界隈では超有名な方です。でも、残念ながら一般には殆ど知られてませんで、大召喚術師と言えばエンペラールと100人中100人がそう答えます。ちなみに、エンペラールは今は無き転移術を含む召喚術全般における開祖であり、今に残る様々な術式を考案した偉大なる先人であるのに対し、セラスティナは転移術を極めたスペシャリストと言われています。ただ残念ながら転移術はこの世界にほとんど残ってないのが実情です。あるとしても、手紙のやり取りに使われるごく簡単な転移術しか存在しないため、もし転移術式を記した書物、特にセラスティナの随筆とかメモでも発見されたら、召喚術師界隈だけでなく、まさにこの世界がひっくり返るくらいの大騒動をもたらすと言われています(メモ程度でも一つの国を買える財産になるとの噂も)。そのため、世界中のトレジャーハンターの究極の目標の一つが、この転移術式を見つけることにあることは、容易に想像できたりします。


  「でもさ、真実は誰にも分らないし、

   内容は作り物ではあるだろうけど、

   それにしても異世界に転移したとか、本当かな?

   まあ、物語としては面白かったけどね。

   確かに、セラスティナの事を書き記した

   過去の文献にもそのような記述があるのは

   僕も知ってるけど、

   まさか転移で異世界に行けるとは想像できないよね。

   それとも、本当に異世界に転移したのかなー」


  「まあ、真実はどうなのかは分からないし、

   確認しようがないけど。

   でも、あなたの言うように演劇として見る分には

   面白かったからそれで良しとしておきますわ」


  「ところでさ、確かエンペラールって

   爺さんとして書かれている書物を見るけど、

   セラスティナって女性だよね。

   何か関係とか無かったのかな?へへ」


  「は?カーン君、あなた何時からそんなことに

   興味を持つようになったんですか?」


  「いやいや、別に興味あるというわけではなく、

   何となく何か関係があると面白いかな、

   なんて。ははは」


やばい、何か知らない地雷踏んだ?変な汗が出てくるんですが。あっ、グッドタイミングで、次の食事が運ばれてきました。


 この後暫くは、地雷を踏まないように気を付けながら、他愛もない会話を進めておりました。


  「ゴメン。ちょっとお手洗いに行ってくるね」


食事が一通り終わってサリが席を立った時を見計らい、カバンの中からプレゼントを取り出しました。暫くして戻ってきて席に着いたところで、


  「サリ、誕生日おめでとう!」


  「え、このタイミング!

   全く。でも有難う。

   うれしいわ、覚えていてくれて。

   ねえ、開けてもいい?」


カーンさんにはその辺の機微は分からないので勘弁してあげてください。


  「うわー、ネックレスね。

   しかも真ん中の赤い石って、まさかのルビー?」


プレゼントの中身を見て驚きの声を上げると共にごく一瞬だが目をカッと見開いたサリ。しかしサリのその一瞬の表情の変化にカーンは何も気づくことは無かった。


  「カーン、これ高かったんじゃないの?」


  「サリには何時も世話になってるし、

   日ごろの感謝も込めて奮発しました。ははは」


  「ありがとう。大事にするわ」


  「えっ、せっかくだから付けてみたら?

   丁度そのドレスにも合いそうだし」


  「そう、じゃあ、せっかくだから、付けてみるね」


そう言えば、サリってアクセサリーとか付けているのを見たことなかったな。まあ、仕事に必要ないから特に気にもしなかったけど。そう言えば、普段のサリってどんな感じなんだろう。あれ、何か悪戦苦闘している?どれ、手伝うとしますか


  「サリ、手伝おうか?」


  「あっ、いいのいいの、大丈夫」


と言いつつ、何か顔が赤くなってますが。僕に触られるのに拒絶反応を起こしたとか、ガーン。悪戦苦闘しつつ漸くつけ終わりました。そして、ハンドバッグから手鏡を取り出して眺めております。


  「うん、やっぱりよく似合うよ。

   我ながらいい物を選んだと、

   自画自賛しております」


  「そんな、してやったり、みたいなことを言って。

   何か腹立つな」


と笑いながら毒づくサリ。でも、本当によく似合ってます。良かった。


  「そう言えば、普段はアクセサリーとか

   身に着けてないから、

   どういうのが好みかが分からなかったんだけど、

   それで良かったかな?」


  「うん、私も普段からアクセサリーを付けないので、

   自分で持っているものって殆ど無いんだよね。

   だから少し嬉しい。有難うね」


漸く、何時もの笑顔のサリに戻りました。いやー、今日は地雷を踏んだりしておりましたが、終わりよければ全て良しということで。


 その後少し夜の街を歩いて、ちょっと雰囲気のあるバーを見つけたのでそこに寄って軽く飲み直し(くそっ、ここで渡していたら雰囲気あってよかったのに、トホホ)、そして彼女を無事家まで送り届けて今日のデートは無事終了しました。短いような長いような一日でしたが、でも十分楽しめました。また明日から頑張ろうと。


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