地球転生編 2-6 最神玲、下宿に戻る
最神玲、下宿に戻る
途中大変な寄り道をして、漸く東洛市の下宿に到着した最神玲。尤も、最神玲本人なら勝手知ったる我が家となるが、カーンフェルトとなると、初めて来る所。そのため、まず場所すら分からないため、物部かすみに案内してもらい、漸く辿り着いたのであった(ただし、途中からかすみは一切喋らなくなったが)。ちなみにかすみは、玲を下宿の部屋の前までは連れて来たが、そのまま何も言わず踵を返して自分のマンションに戻っていった。どう声を掛けていいのか戸惑う玲であるが、今は触らぬ神にに祟りなしの心境で、そのまま黙って見送ることにした。
さて、玲の下宿だが、そこは2階建ての軽量鉄骨造りのアパートで部屋数は全部で10室。そのうちの2階の202号室が彼の部屋。内部は典型的なアパートの作りで、入口入って直ぐにキッチン、その奥に8畳程のフローリングの居室があり、そこで寝食をしている。後はユニットバスがあるくらい。ごく平凡な作りである。しかし、カーンにとっては、これだけコンパクトに色々な機能か纏められていることに驚きを隠せないようで。まぁ、ケンタリア国は人口密度が高い方ではあるものの、そこまで各自の部屋が狭くなることは無い。そのため、カーンの生活する家(正確には研究所が所有する寮)は、玲のアパートの2~3室分の規模はある(専ら、カーンは執務室に寝泊まりする傾向が強いが)。そして、家賃はこの辺の相場よりは少し低い4万円程。これを事故前の玲はバイトで稼いで賄っていた、何とも親孝行な青年なのである。ちなみに、カーンの住む寮は無料。全て国から支給されるので、給料はほぼ貯まる一方。まさに独身貴族ともいえる身分であった。ところで、最神玲ことカーンは、少し前までリハビリ中ということもあってバイトを辞めて無職の身。生活費は減る一方になる。では、全く未知の世界でカーンはこの先働いて生活費を稼ぐことが出来るのか? 答えはNO。やはり、どう頑張っても働くために必要な知識、例えば日本語で文章や報告書を作成する能力など、が足りないため、働くことは無理と諦めている。では今後の生活は大丈夫なのか? その答えはYES。なぜか? 交通事故による保険金が数百万円程彼の銀行口座に振り込まれているためである。今はそれが彼の全財産。それだけあれば、当面の生活には困らないので、カーン自身が急いでこの世界で働き口を探す必要はないのである。
さて折角なので、玲の部屋を色々調べることにした。残念ながらキッチンにある冷蔵庫には賞味期限が切れた食材や、腐った野菜があったので、これは速攻処分。そして、食べられそうな冷凍食品を見て、それをレンジで温めて、軽い夕食とすることに(レンジの使い方には何とか慣れたカーンであった)。その後、居室で玲の持っている書籍をチェック。今となってはかなり昔のように思われるが、病院で物部かすみと話していた時、かすみと玲は共に大学で文化人類学を専攻しているそうで、主に国内の民間伝承なるものを研究するゼミに参加しているとのこと。そして、かすみも玲も共に卒論を仕上げれば無事卒業できるようなので、何とかあと半年ほどで卒論を仕上げないと、などと彼女が入院中に心配そうに話していたのを思い出す玲。実はよく分かっていないものの、まあ、かすみにおんぶに抱っこ、ついて行けば何とかなるだろうと楽観視しているのである。まるで、ヒモ男のように。そして、卒論に関係するであろう書籍を事故前の玲は購入して、色々と調べていた模様。そこで、彼の机に置いてあるノートパソコンを起動することに。ちなみに、実家に置いてあったノートパソコンは、そもそもバッテリーが寿命を迎えていたために起動できないことが、後で玲のお兄さんから教えてもらっていた。今回は、無事起動され、ログインの時に顔認証されたので、そのままデスクトップを表示して起動完了となった。カーンにとっては生まれて初めてパソコンに触ることに。ただし、何かボタンを押しても何も変化が無いので、どうしたらいいのかと思案し、困った時のかすみ、ではないが物部かすみに聞いてみようと思い至る。が、彼女の先程の反応から、今日はやばいと判断し、結局パソコンはそのままに。後は特にすることもないので、シャワーを浴びて、その後テレビをみてそのまま就寝となった。何か、長い一日だったと、思いを馳せる玲である。




