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純文学

冬だって案外悪くない

作者: 本羽 香那


 冷たい風がびゅーびゅー吹いて私の体を思いっ切り冷やそうとする。私はそれに抗おうと必死に着ているコートを手で抑えて前のめりになった。それでも大して寒さは変わらず体は冷えていく。


 現在11月中旬と冬に入り始めた時期であるが、まだ始まったばかりとは思えないほどの寒さで今は12月か1月かと勘違いしそうになる。少し前まではまだ秋だなと思っていたのに、いきなり冬が押しかけてきたような感覚だった。


 そんな寒い時には家で大人しくしているのが正解と言うものだ。私は今日の夕飯を冷房がガンガンに効いたスーパーに入り食材を買って即座に買い物を終わらせた。そしてそのまま寄り道をせずに真っ直ぐ家に帰った。


 家に帰るとすぐさま暖房を付けてそのままベッドに入る。布団は冷たいが、それでも包まっていないよりはマシであるため体全体を覆うように被った。その状態で少しの間暖かくなるのを待っていたのだが、まだ暖かくはなりそうにない。いつもなら25℃に設定しているのだが、今回はあまりの寒さにこの温度ではまだ寒さを感じるかもしれないと温度を2℃上げて27℃にした。しばらく経つと部屋は暖かくなり布団から体を出した。これでひとまず安心だ。


 夕飯の時刻にはまだ早いが、折角体を起こしたところだからと夕飯を作ることにした。今日の献立は鍋。寒い時の定番メニューだ。野菜・肉・茸と様々な具材を入れて食べるのはバランス的にも良いし、何より手軽に作れるため、私も大好物である。台所はエアコンの位置からは遠いため温まりきっておらず少し寒さを感じたが、これから鍋を食べられるのだと思うと切る作業はさほど苦痛ではなかった。

 

 食材を切り終えたところで、鍋を引っ張り出して軽く水で濯ぎ、そのあとパックを開けて鍋つゆを注ぐ。その鍋を机の上に置きコンセントに挿して電源を入れた。これが温まるまで少しの間待つことになるが、鍋が温まっていくうちに、家も温かくなるため、気持ちは落ち着いていった。そして、煮立ったところで、野菜、肉、茸を順番に入れていき、火が通るまで再び待った。具材がグツグツと音を立てると、灰汁を適当にとって鍋の完成だ。


 さてさて、これからお待ちかねの1人鍋パーティーが始まる。今回はシンプルに白だしの鍋つゆにしたため、どの具材も味がマッチしており、その味と熱さが私の体に温もりへの変えて全身に沁み渡る。この感覚がやはり鍋の良いところだ。寒い冬を体験したいと味わえないこの幸せに酔いしれてしまう。

 そして、最後は締めの雑炊かラーメンとなるのだが、今回は予備のご飯が無かったから、塩味の袋麺を1袋入れてまた出来上がるまで待つばかり。最後の待ち時間を過ごしたら、少し味付けをしてラーメンを装って思いっきり啜った。様々な具材から出た旨味と鍋つゆが麺に絡まって最高だ。だけど、ラーメンも捨てがたいけど、雑炊も捨てがたいから、次の鍋は雑炊に決定した。また、鍋つゆも雑炊にするならキムチにしようと自然な流れで決定する。


 寒いのは大の苦手だけど、こうやって鍋のことを考えられる冬も案外悪くないなといつも鍋を食べる度に思うのだ。


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― 新着の感想 ―
ジュルリ…(´ρ`) ( ゜д゜)ハッ! いやいや、めちゃめちゃ飯テロ~なお話し!鍋パ!良いな~。私の家、そもそもお鍋つくって食べたことないんですよね~父の好き嫌いが多すぎて出せないんですよ~鍋~(/…
グツグツといい匂いを漂わせて煮える鍋が目に浮かぶ作品でした。 私の中の鍋欲がかき立てられましたね(笑)
どちらかというとエッセイ寄りな感じですかねえ。 純文学というには背景がちょっと実生活に近すぎるような気がするし、それから、ほら、鍋の食材を買いながらもっとこう、冷房に悪態をついたり、あと自分語りとか人…
2024/11/19 02:22 ぶーめらん
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