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高台から雷
海側の空が一瞬明るくなる
一刻置いてまた光る
その瞬間に海が顕になる
それまでは海と空の境のない暗闇だ
高い所からみる暗闇に飲まれた海は
遮るものが何もなく
雷がよく見えた
光の速さは本当に速い
徐々に明るくなる様子なんて人間では観測出来なかった
せーのって声を合わせて
夕方から夜にかけて
海は紺色から黒へ移動する
その空をいっぺんに明るく照らす
街の夜景が恒常的に電子の力で明るいのに対し
一瞬の瞬き
そこに神秘や移ろい変わる美を感じてしまう