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渡嘉敷の松
リュウキュウ松だろうか
街路樹として松が植えられていた
山をバスで登る道
私の地元の島では虫に食い荒らされた松の木が
木肌を見ないと松と分からない格好をしている
それに見慣れている
だから
緑の葉を豊潤に蓄えた松は逞しく
そして生態系の違いを認識し感慨深くなる
海と小高く盛り上がる山と灰色の空
今この時もこの島の生命の時間であることが嬉しい
その時間を覗き見ている
時間を共有し、渡嘉敷とともに在るこの瞬間に
心が震える
雨足が強まり霧が出てくる
切り離された山が一つ霧の中にポツンとある
何か思わせぶりな幻想的で禁忌的な
危ないだろう
だけどみてみたい
行きたい




