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少女な鳩
てくてくてくてく
鳩が歩道を歩いている
お尻をふりふり
赤子の歩きかたを思い出す
てとてと右出して、よいしょ左出して、おっとと
鳩は歩く私の前をスピード変えず歩いて行く
歩道横には水の通り道がある
排水のために歩道から一段下がった溝だ
溝の両端は少し盛り上がっていた
そこまで辿り着くと
足の平より長い指を開きながら
左足から一段上に登る
両足をきちんと揃えると
ぴょんと音が出た
いや、出ていない
脳内で勝手に再生された音だった
少女が水たまりを飛び越えていくような
初々しさとみずみずしさ
どこかまあるいく、外が冷や冷やしてるが
中の温かさが触れずに分かる
側からみてると、
お嬢ちゃん、楽しいことあったのかい
とか声を掛けたくなる
そんな小さなジャンプした
鳩。