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音と月
満月が上がる
十五夜とは今宵のことだろうか
月明かりで夜が明るい
いや、十五夜はあと何日か後なのではないだろうか
月が少し縦に長く楕円形に見える
輪郭がはっきりと縁取られる
月光というとベートーヴェンを思い出す
ベートーヴェンがつけた題名ではないそうだが、
昨夜のような霧に囲まれ朧月となると
第1章が頭の中で鳴り出す
月光って言われたから月を見て曲を思い出す
哀しいかな、題名、通称名がなければ
朧月とこの曲は私の中では結びつかなかったろう
では、今日の月は曲に例えると何だろうか
カエルが鳴く
風が意思を持ったように進む
吹き止まぬ風
虫は今宵も変わらず奏でているのに
葉先の擦れる音が
不穏な雰囲気を醸し出す
湯上がりのポカポカした体には
熱を取るように涼しい風
秋相応に涼しい
雲の動きが早い