62/235
林
葉に光が当たる
白く輝くそれは玉のような輝き
ぴゆぴゆぴゆ
小鳥の声で
柔らかな世界を作った
静かなる蔦が垂れる
ひたと何も動かぬ林の中
日光が細かい筋になり林を照らす
竹と蔓、巨木、木の葉
幻炎的で柔らかな不思議な空間
時の流れがこちら側と林の中では違うのだろう
鳥が誘うので足を踏み入れようとすると
そこは影ばかり
幻想的なのは上の見えている部分だけで
腰下の世界はまた別の世界を持っている
暗く静かで上とも時間の流れが違う
上が日の動きで時を刻み風で動くのに比べ
腰下世界はそこに住まう動物と
植物の成長で時を刻んだ
猫じゃらしと短い新緑が風で波打つ
草がポカポカと温められる匂い
風が草原を撫ぜる音で
心がすっと軽くなる