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雨に降られて
心の持ちようが変わると
見える景色の感じ方は変わる
人が変わると
また見え方は変わる
現実に在るものはきっと一つだが
誰ひとりとて全く同じ景色を共有することは
できないのかもしれない
りんごが一つ有る
目で見て
ひとつだという人もあれば
ふたつだという人もいる
じゃあ、触ってみればいい
やはりひとつだという人もあれば
何を仰るうさぎさん、とふたつという人もある
共有と言っても全く同じものを共に有するのは
難しいことなのかもしれないなぁ
なんて。
降りしきる雨を
恵みの雨とも
災の源とも
とりうることがある
傘を忘れて浴びる雨は冷たかった
止むのを店の軒先を借りて待つ
太陽が雲に隠れない雨の日
午後の始まりを知らせる鐘の音
夏日の昼の明るさ
人間の目と耳を独占する雨