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半月
半月の美しい夜だった
外が明るくならないと眠りにつけなくなってから
月は太陽より身近なものになった
腕を置いた机が汗で濡れている
頭は冴え冴え
体は沸騰する
やかんに入れられ熱せられてるような夜を過ごす
逃げ場がない
むさ苦しい
息苦しさにたまらず外へ飛び出す
雨の粒が顔を俯かせる
粒の大きい
地面で割れて破片が飛び散るように
跳ねる
空は暗くとも眠らない人の街
どこかが煌々と光を放つ
月だけが夜の証だった
宇宙の色を届けうるものはもうここにはなかった
外の雨が暑さを和らげる
濡れた靴の中はひんやりとしていた