いちにちとして同じ日はないので

風の日

猫が鳴いている

子猫でも生まれたのか

声のする方に寄っていく

声はするのに姿が見えない

大きくなったり小さくなったり

行っても行っても姿が見えない

枯れたはっぱが螺旋状に高く舞う

ショッキングピンクの花が花びらを垂直に飛ばす

あっ、声が大きくなった

空っぽの空き地で猫の鳴き声だけが響く

小枝がかけっこみたいに走っていく

前に進むのも難しい

どんより曇り空は地上に蓋をする

その中で強風が吹き荒れ逃げていかない

月も世に浮かばぬ夜