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深い森の藍
エーテルは存在しない
との考えが歴史の中で主流になった
エーテルとは空間を埋める"何か"の名前、らしい
詳しくはわからない
だが、ここになにかある
なにか空間を埋める存在があるようだ
もしや、エーテル?
おっ、
人間が扉から出てきた
私こと、茶がらしが置かれている茶碗の縁から
見える景色ではタンクトップ姿の腕が途中まで白い
タンクトップの上に七分丈のティーシャツを着ている
焼けた腕でぽりぽりと頭をかいている
午前11時
団扇を扇ぎ、
飽きるとコップと蛇口を手にシンクに現れた
窓を開けてなにかを出そうとしていたが
外もそれで満たされているようだ
風がなく私の体はじゅくじゅくに濡れたまま
私は全てを吸い込み元の茶葉の形を形成し
森へ戻る
時間を遡りあの涼しかった深い藍へ
梅雨が明けて夏が始まった