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カラス
左右にサトウキビが生える農道
少し行くと暗くなる
サトウキビから大木を覆うつる植物へ
天高くそびえる左右の壁の森は
胸に寂しさを思わせん
一人を一本道が知らせる
黒が上空で鳴く
黒く大きな体を広げ自分の上空で鳴く
カー ガー ガーガー ガーガーガー カーガーガー
一羽が二羽三羽…
ハモり始めてからは何羽になったか分からない
日の落ちた時間帯にも関わらず日傘を開く
見た方が…いや見たら…でもでもこのままでは…
涼しい風が吹き抜ける落日帯が音を増幅する
日中より汗をかく
地獄絵図が目に浮かぶ
走ったから…止まった方が…いやいや…
鋭い嘴が傘の隙間からのぞく
目の前に赤い目と漆黒の体
頭を後ろに振りかぶり私の目へ鉛筆の先のような
避けることができない
動きを目で追う
目が
硬直したところで意識が戻る
傘を握りしめて歩く