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カエルの声
ほへほほへほ、ほへほほいほいほへほほへほ
まるで小さな鳥の鳴き声のようだった
文字にするのは難しい
カエルの鳴き声
高い可愛らしい声で何重に声を重ねる
一匹一匹はおえお、おえお
と鳴いている
一つの波となって「お」という強い音が
Hの音を含んだ
HとOの音は息を出すように柔らかい
八重山にいるらしいカエルさん
隣の携帯から流れてきたこおメロディは
一気に我が意識を八重山の森へと飛ばした
まだ見ぬはずの森は暗くしっとりと濡れて
苔が生えた大きな石があった
太陽の光は遠くの木々を照らしているが
こちらには届かない
ここはカエルのなく世界