211/235
ロボットはち
はちが飛ぶ
月桃の花に顔を突っ込む
月桃の花を見たことがあるだろうか
花は白い蕾から黄色い花弁を出すのだが
下向きだ。
太陽にそっぽむいて舌を出すようにこそっと花開く
その一つにはちが入る
中に入り込み体が見えなくなった
しばらくしたら出てきてまた別の月桃に入る
はちは体が大きかった
見たことのない体の形をしていた
ロボットおもちゃのように
一つ一つがしっかりとした形をしていて
それがまさに合体しているような
無機質な印象だった
つやっと太陽の光に白く光る
ロボットはちは次の月桃を探して宙を飛ぶ
一方向しか向けないのか
右をこちらに見せながら飛んでいた