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三日月の朧月
朧月夜は三日月であった
珍しく深い暗闇の中
星は一つとして出ていない
しんしんと寝静まった街は月から遠い
褐色がかった朧月
手に届かぬ存在だ
はるかはるか 遠く 高く
一夜明けると
ぼんやりした太陽が東の空に浮かんでいる
風は冷たい
上がったばっかりの太陽
雲によって形を変えてゆく
石は冷たく
木は湿っている
じーじーじー じーじーじーじー
ちゅぴちゅぴちゅぴ
ぴゆぴゆぴゆぴゆ
ふぅいぃ ふぅいぃ ふぅいぃ
あっちこっちで 鳥が鳴く 虫が鳴る
朝から賑やかだなぁ