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なめくじ
葉に雨の当たる音は柔らかい
ぽとぽと ぽつ ぽとぽとぽと
つる植物の葉が屋根になってくれている
雨宿り
時折大粒の雫が降ってきた
カバンにあたりばたっ
違った音が鳴る
カバンを置こう
カタツムリがいた
潰すのはなんだか
避けて置こうとすると
なめくじがいた
カタツムリよりと大きい
カタツムリの目は黒っぽくてわかりやすいのに
なめくじの目は分からない
口かな、と思うところでキスをしながら歩いている
ちゅ ちゅ ちゅ ちゅ
ゆっくり優しく
愛おしい
お尻から蜘蛛の糸のようなものをつつぅと出した
なんだろう
透明なそれは曇りの中で煌めいている
時折玉ができて飾り付けをして
これからパーティを始めるのかしら
なめくじさん、
彼は私に人間さん、と
呼んでいるの
だから私も今はなめくじさん、と呼ぶわ