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梅雨入り
あっ
夏だ
布団から起き上がり窓を開け放った
みーーーー
遠くから一匹の蝉の声が聞こえる
それから1週間
梅雨入りした
空はカラッ快晴と言える一日であった
雲の動きが明らかにダイナミックになっている
ピンクと紫の空に白い雲が
ソフトクリーム、川の水飛沫、宮殿、凪の海
形を描く
それぞれがそれぞれのペースで動き回り
まるで舞踏会
梅雨の定義はよく知らない
梅雨入りしたと聞いても
今日と昨日を隔てた午前12時に大きな変化はない
そして梅雨前の空は気分屋で
梅雨入りの空は気まぐれ
正直違いが分からない
梅雨入りした、との言葉で言われるものよりも先に
体で夏を感じてしまっていたのはなぜだろう
あれは、あの蝉は、あの春の次に訪れた夏こそが
若夏、だったのか