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桜の木
桜の木に蕾があった
花咲くまでの色づいた花の蕾でなく
岩を連想させるガタガタした表面の枝先がそうだ
枝色の蕾
真新しい若い葉っぱが眩しかった時期を経て
色濃くなっている
葉先は茶色くなり、
白い葉脈が浮き上がっている
心細さよりも老成した
たくましたと厳しさを持ち合わせていた
桜の木は
鮮やかすぎる紅色の冬花を落とし
淡々と丁寧に日々を重ねた年輪のようなものを
想像させた
あの長い夏がやってくる
その前の一休みか
静かな面持ちで人々を見下ろしていた
今年は夏の桜を見よう