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ありに縁在りし日
ん、
もぞもぞする
首が
右手が
左肘が
正体のわからぬ違和感
左腕をさすっていると
小さな黒いものが肘裏から出てきた
ありが体を歩いていたらしい
原因が分かると体のぞわぞわは消えた
左腕を机に付け道を作り体から降りて行くようにした
橋の欄干にもたれてぼーとしていた
鈍い光を放つアルミ性の手すりをありが歩いていた
一匹 目の前を通る
しばらくしてまた目の前を通った
一定の間隔をあけて規則的に黒ありが
同じ道を走り抜けていく
ふと見えない道を手で塞いだ
すると右は左へ行ったり来たりしていた
手を避けて行く道を探していたが
見つからなかったのか指の山を超えてきた
予定が狂わされ道を見失い彷徨っている姿に
ちょっぴり申し訳ない気持ちが芽生えた