195/235
鳥
鳥は
首をゆるりとこちらに向けた
黒く濡れた瞳に光があった
鳥は
体ごと彼方を向いた
鳥は
目を周囲に巡らせ
鳥は
片足ずつ水から持ち上げは静かに下ろした
鳥は
ながくほそい首を太陽から下ろし
水に口付ける
魚が跳ねた
太い枝に別の四羽が休んでる
上から見下ろす彼らは
洗われたサラシのようだった
真っ白な体を太陽が見ている
風が吹くと枝が揺れた
ばたたたたた
水辺にいた鳥が加わり五羽になった
途端
声をあげて彼らは飛んでいった
低きから高きへ
山の向こうへ消えて行った