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おたまじゃくし
水面に真上から太陽が当たる
光の魂が集まったり離れたり
戯れ合うように波に合わせて姿を変える
魚が跳ねた
深い円がどんどん広がる
光の波がゆっくりと
だんだん小さくなる
光の粒たちが思い思いにひかり はしゃぎ
なんだか楽しそう
水の上で魂は自由になる
おたまじゃくしがいなくなる
透明な膜の玉の中に白い玉が入ってる
つぶつぶが連なり水面を覆う
みないうちに世代交代したのか
別の水路にはおたまじゃくしがいる
水源に向かって泳ぐ
平泳ぎの膝を曲げた足をくっつけ頭ふりふり泳ぐ
貝をからった生き物と一緒になって苔つつく
小さく体が黒いもの
足や手を折り畳んだ柄のついたもの
たくさんのおたまじゃくしが日光浴でぬるい水をゆく
遠くのおたまじゃくしがここに泳いで来たのだろうか
遠方はるばる旅をしてきたのだろうか
どこからきてどこへ向かうのだろうか
きらり光る水面を泳ぐものたち