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石灰岩
石灰岩に指を這わす
ごつごつ穴のあいた表面を撫でていく
長年その場にいることが言われなくても分かった
つるが巻きつき、苔が生え、木の根が覆う
グスク跡の公の園となりし場所での出会いだった
小鳥が鳴く
右手に大きな岩が二つ
手前に一つ
奥に一つ
左手に一番大きな白い岩がある
琉球石灰岩と呼ばれるらしいその岩は
155センチの自分が頭の上に二人乗ったところで
ちょうど石を覆う木の幹に触れられるくらいだろう
石を囲う樹々が影を作り涼しい風が舞い上がる
天中している日の厳しさを柔らかい木漏れ日へと
変えてくれて
ポカポカ
サラサラ
心地よい春がそこにあった
石に見惚れていると
男性の二人連れとすれ違がった
話しながら石の階段を登っていく
人間のいる世界に舞い戻って来た