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森の城
雨上がりの石段を上がる
一段の幅が大きく足を目一杯伸ばしてあがる
ああ、この感じ
以前他のグスク跡にお邪魔した時に
感じたものがそこにもあった
ただ森があるだけなのだ
それも城跡を囲む周囲の森だ
森を構成するものたちは
止まらない時を刻み続けるこちらの世界と
800年ほど前の空気を持つ世界との
境界線であるかのようだった
グスク跡と知った上でみる、先入観による
我の思い過ごしなのだろうか
などと思いながら入口を探す
なかなか入口が見つけられず中に入れないでいる
ことを肯定するために生まれた感傷だったのかも
しれない