気まぐれな猫さん
若い葉っぱに露がある
鈍く玉が光った
地面に落ちた葉っぱがずずずと体を引きずりながら
旅に出る
猫に会った
地域猫さんだ
たまに体を撫でさせてくれる
今日はどうだろうかと歩み寄る
茂み近くに座っていた
おいでと手招きするとこちらへ来てくれた
空から雨が落ち始める
いつも撫でている最中にするりと抜け出し
少し離れた場所へつやんつやんと移動して座る
猫さんの歩き方は素敵だ
ゆったりとしている上にラインが美しい
物足りないまま帰るのが定石だった
今日も少し撫でさせていただければ、と思っていた
膝の上に乗ってきた
ふぇと驚きの声が漏れる
体まるまる我が太ももに乗せて
撫でられるがままに体を預けてくれる
時々こちらの目を見上げて
また顔を戻す
体のかゆい所はないか探る様に
赤ん坊を撫でる様に
していると尻尾の動きが止まった
ずっとプランプラン尻尾だけ別の意思を持っているようだったが
体に沿う様にくるりと収納された
そして頭を我が指に預けた
しばらくすると指があったかくなってきた
黄色地に緑の目は閉ざされお腹が上下している
なんだか嬉しくなった
久々の寒さから暖を取るために選んだ
場所なのだろうが
手のひらに顔を押し付けるようにして眠る
愛しい体温は我が心も温かくしてくれた
心も体も冷え冷えとなんだか物寂しい気持ちの時に
現れた天使であった