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雨が降る
雨が降る
雨が作るコートのシミ
左側だけを黒く染める
あみあみの中に吸い込まれてゆく水
冷ややかで冷静な自分と
泣き甘えたい自分がいるとき
建物内、友人の前では前者が出る
あくまでも人と人ありで外と隔たれた空間で
外、ひとり雨に打たれていると後者が現れた
泣いてもバレないやという安堵
一人になると蘇る記憶たち、
湧き上がる妄想たち
雨が感傷的な自分を感傷的でいて良いよ
今はそういう演出をしているから
浸る人間を思う存分味わって良いよと
言う