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コウモリ
桜の木にぶら下がる
キーキーと鳴き声を出して宙に円を描く姿は
ヴァンパイヤ映画さながらだ
感動しながらもこっちに向かってくるのではと
恐々とする
しばらく歩くと先ほどとは別のヴァンパイヤ、
いや、コウモリに遭った
桜の花か葉か食べているのか
何か作業しているらしい
つるっとした頭に細い足を動かしている様は
なんとも愛らしい
目がクリクリとしていてつい見つめてしまう
枝が揺れた
波が枝を媒質に食事中のコウモリが揺れる
気づかなんだ
奥の繁った葉の中にもう一匹がいたらしい
回り込んで見てみると
食事していた子の2倍ほどの大きさ
こちらも食事しているのか
なにやらがさごそしている
キーキーと鳴いた
こわくなって走って逃げた
「コウモリって超音波で会話すると思ってたら鳴くのね。」
我友の言葉が頭を過ぎった
そうだ、こんな声で鳴くなんて知らなかった
夜のもやに鳴き声が響いた