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七夕
紫と黄のグラデーションに浮かぶ月
生まれて一日目か二日目なり
細く繊細 ピアノの先細い手が浮かぶ
光は夕焼け空より星よりおぼつかず
ドビュッシーの『月の光』が聞こえてくる
月が消える
流れ星が浮かぶ
星を求めて彷徨う
暗闇を恐れ暗がりを求める
あなたを見つけると笹の音が鳴り出す
蝉が朝を知らせる
また一年後
ガジュマルの髭が暗闇に揺れる
木の精霊達の時間なのだろう
月桃が白く浮かび上がる
ハイビスカスが昼の女王なら月桃は夜の妃だろう
威厳よりも儚さとみずみずしさが漂う
雨が暑さを拭い去りしっとりとした夜であった