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桜日記
桜の花が道を赤く染めている
桜とは薄桃色だと思っていたが
ショッキングピンクや白もあって驚く
黒っぽい枝に華やかに揺れる花は綺麗だ
自ら花弁同士が集まり
小さなブーケを作っている
黒い枝からどうやって作られたのか出てきた、蕾
レンガを積み上げてできた城のような木
黒い枝先が気付かぬうちに紅色の蕾になっている
ありさんがえっちらおっちら積み上げたのかなぁ
来年はよく観察しておこう
固く閉じた扉を開き顔を空に見せる
そして細く柔らかい枝ごと地面へ向かっていく
花の首ごと落ちる
ひらひらと花びらが舞うことはないが
主張強くここにあります!と咲いた後に
潔く散って行くのはなんだか清々しい
そしてこの土地らしいと感じた
ハイビスカスやゆうながふわっと頭に浮かんだ
たださくらたちは物寂しさを含んでいた
どうしようもない寂寥感は
花弁の付いていない枝振がもたらすものであろうか
荒ぶる冷風に顔を引き攣らせる
それすらも心地よい
あぁ、今日も素敵な日であった