140/235
夕方どき
クリスマスみたいだ
灰色というより白を失った世界で
信号機を見て思う
傘を持っていないが
持っていてもさしたくなかっただろう時がある
今がそれだ
風が心地よい
体を突き刺す雨風
モスグリーンのコートが黒い点々で覆われていく
晴れの日よりも開放的な気持ちになる
謎の安心感
腹の底から力が溢れ出て
走り出しそうな太陽の日では無い
何も話さなくてもいいよ
そのままでいいのさ
風が強いから傘をさせないねって思えた
手先だけが異様に冷える
そんな夕方どき