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芭蕉
洋芒たる薄い空に白い月が浮かぶ
午前7時
鳥が飛び交う
冷気が心地よく我が身を包む
道脇に芭蕉の葉が生えていた
芭蕉の葉はバナナの葉と似ている
葉が竿に干された布のようにプラーンと葉先が風に揺れている
縦長の長方形の葉に葉脈が細かく八の字型にあり、
どうにも線に沿って裂いてみたい衝動に駆られる
包丁葉っぱの繊維に沿って裂くちょっぴりの罪悪感とさっと滞りなく終点まで行き着く心地よさを知っているが為に期待してしまう
これも八の字の眉頭まですっと手を動かせるはずだ
そこまで妄想し、震えが来たので歩を進めた