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食の秋
柿 梨 林檎
店先に並ぶ果物の顔ぶれが変わった
店に秋が訪れているのだ
一年中温度の変わらないスーパーが秋を届けてくれた
半袖から伸びることのない布を見つめる
秋の定義とはなんなのだろう
スイカの切り身がパックに入っている
木の実が足元に散らばる
何の実
足に踏みつけられ、コンクリートにぶつかり
緑や肌桃色で硬い
なんとなく実っていそうなものを手に取り
齧ってみた
鼻腔を通じて果実の甘い香りと草の青い匂いが
ほのかに上半身を包む
今後飢餓に瀕しても口にはしないだろう
香りは良いので部屋に飾るのは良さそうだ
松ぼっくりにどっからか拾ってきた木の実
貝殻とさんごの白骨化
さらに香りの良い木の実を加える
我が安息の地は内側から自然になろうとしている