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青虫
「ちとお待ちあれ。」
我が先輩が私の足を止めた
何事かと視線を巡らせる
足元に小枝の棒切れのようなものがある
近づいてみると青虫だった
「ここにいては踏まれてしまう。乗りなさい。」
先輩は青虫の前に手を置く
虫は何か感じるようで手を避けながら
頭をぶらんぶらんふゆんふゆんと振っている
次に彼女は日傘の縁を地面につけた
傘に乗ってきた
「はて、これはてうのイモムシではなかろうか。」
葉っぱのある垣根を探しながら先輩は言った
ほう
如何してそう思われるのかと問うた所
以前見たてうのものに似ていると口を開きながら
傘から青々しい葉へ引越しを行っていた
傘の骨から動かない
左右の足はピッタリと傘を掴み
引き剥がそうにもびくともしなかった
青虫の脚力は私見外の事実と驚きながらも
小気味良かった
なんとか仕事を終え葉に穴を開けてる姿を確認すると
我々はその場を離れた