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月桃の実
どどどどどど
窓外が騒がしい
何事か
ふと窓の前を横切るつる植物を見る
露を受け小刻みに震えていた
泣いて、いるのか
ぴたり、音が消えた
ハート型の頭はまだ震えていた
月桃の花がぼとっと落ちる
山藍摺色の葉は
虫に喰われてギザギザなり
たわわに枝揺らす倒卵球型の実が赤茶の皮から
黒い粒をこぼしている
枝先の露が月の光を内側に集めている
落ちた花は水面に浮かび
湖面の森へ黄赤の色をなす
外の花びらは抜けるような白い肌に頬紅を添え
こちらに微笑みかける
なんと艶やかなのだろう
黒い森が波打つ




