103/235
一息
ちょっと古びた市民プールの壁の色を思い出す
濃いのか薄いのか分からん
ペンキの水色
単色で自然と切り離された異空間の色
空にそんな色がのっぺり張り付いている
要するに晴れているのだ
秋とは何とも抽象的なものではないか
と叫びたくなる
10月に入っても蚊に食われる足
冬をしぶり夏にしがみつく太陽
週一台風月間を通り抜けた先は
冬でもなく
秋とも呼びがたい
夏の再履修期間と名付けよう
しかし、確実に自然は動いている
一匹で鳴いていた蝉はいなくなった
四阿の水道下の溜池にお玉杓子の姿はない
ガジュマルの葉の色が淡くなった
黄色もちらほら見える
やはり
いちにちとして同じ日はないらしい