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感じる夏
蝉の声が聞こえるほど部屋の中とは
密閉された所だと思い知らされる。
ガジュマルの腕毛が 右に 止まって 左に
よもぎの葉の入ったもちが食べたくなる
青いラメのような羽で止まったり低空飛行
何を求めてか三センチごとに
止まって飛んで止まって飛んで
小さな向日葵があちらこちらに顔を向け
細い首を伸ばして空へ向かっている
汗が心地よく心が晴れやか
クーラーよりも日陰は心地よい
手のひらにシマシマの細い体が止まる
無意識で両手を合わせる
蚊の季節か
緑の小さな葉がもっさり
なんだか木って夏は涼しげにいて冬は懐あたたか
いつでも「おいで」って待っている
おたまじゃくしが見えない
溜まり水に膜がはり中が見えない
どこにいるのか様子が見えない
クワズイモの赤い実がてらてらとひかる
何かに食べられたのか半分裸になっている
なんだか色っぽい