0 プロローグで一人語りするのはラブコメの基本だよな
おれは山田春斗、中学二年生だ。
特に何の変哲もない中学二年生と言ったところか。キスだってしたいしそれ以上のことだってしたいけど、じゃあ具体的にどんな雰囲気でそれを行えばいいのかもわからないくらいにはガキな自信があるぜ。誰かしら先輩に聞いてみたいところだが、おあいにく様一名様、おれには信頼できる先輩はいなかった。ときどきかつあげに遭いそうになることはあるけどな。
おれだって彼女は欲しい。当たり前じゃね? だって年頃の男の子なんだぜ? それで彼女いらないなんて言う奴はどうかしてると思う。まぁもちろん恋愛になんてまったく興味がないなんて奴もいるんだろうけど、それはあくまで周りに対して主張しているだけで、そういう奴に限って彼女がいやがる。なんでだろうな。クソ腹立つよなあれ! どうにかしてくれ! アァどうか神さま、不埒な輩に鉄槌を! そしておれに運命のお相手を!
とか何とか考えちまうくらいにはガキだった。いいや、ガキであると言うことを自覚しているッつーか、自分はまだまだ未熟なんだなと実感しちまうことが最近よくある。これはあれだな、ラブコメ主人公によくある『やれやれ病』って奴かもな。ほら、涼宮ハルヒシリーズのキョン君とか、俺妹の京介とかがなってた奴だ。え? 世代じゃないからよくわからんって? まぁそういう奴もいんだろうけど、なんとなくわかんだろ? とにかく何事に対しても一歩引いて物事を見たいタイプ、それが詰まるところおれなのである。
えーっと、どこまで話したんだったか。あぁそうそう、ただの自己紹介だったな。しょうがない。モノローグで自己紹介なんてされたら読者は溜まったもんじゃないだろうけど、おれはする! なぜならおれは青臭い中学二年生だからだ! ちょっとばかし気取った文章を書いてみたいし、もっと言うのなら一冊分の小説を書き上げてみたいって言う思いもある。この物語がしっかり完結するのかどうかはひとまずとして、おれが体験したことについてはちゃんと記録に残しておかないといけないとも思うのだ。
え? お前の物語なんざいいから、さっさとラブコメ読ませろだって? 悪いな。おれが経験したのは究極的にラブコメに近しい現実だったのだ。つまり、なんつーか、楽しかったんだ。平凡な男子中学生のおれの人生を一変させるような、そんな楽しいできごとに遭遇しちまったってのは覆しようのない事実だったのさ。
まぁ是非とも読んでもらいたい。読んでもらって、面白いと思ってもらいたい。それがおれの本望だ。おれが体験したことについて、『お前なんてリア充!』とか思っていただけたら幸いだ。………………あれ? おれなんか最初から自分でハードル上げに掛かっちまってねぇか!? まぁいいか。とにかくそれくらい面白くて、退屈しなくて、慌ただしくて、うるさくて、非日常な日常が待ち受けていたのだから。最後の表現については中学生なので見逃していただきたいね。
そう、始まりは春だった。新学期が始まる直前にそれは起こったのだ。
おれにある日、義理の妹ができたのだ。