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7/21 01:03

「……やっと終わった」


 スタッフロールを眺めながら、俺は思わずそんな言葉を漏らしていた。彼女から借りたあのゲームを一日中プレイしていた俺に、ようやく訪れた小休止だったせいだ。


 一人目は王道のルーク王子、二人目は別の方向に王道なダンテ王子。彼女の言った『ひと夏の恋』を夏休み初日に消化した所だったのだが。


「まぁ……こんなもんだよな」


 面白いと彼女は言ったが、どうやら俺には乙女ゲームを楽しむ素養が無いようだ。きっと女子ならこういうシーンで喜ぶんだろうな、というのはわかる。わかるのだがそれだけ、というのが素直な俺の感想だ。


 時計を見れば午前一時。いつもなら夢の中にいる時間だったが、どうも今日は布団に入る気にはなれなかった。それもそうだ、人生に一度しか無い高校二年の夏休み初日を乙女ゲームに費やしたのだから。


 かくなる上は……。


「行くか、コンビニ」


 夏休み初日の小さな深夜の大冒険。警察に見つかれば補導間違いなしだが、幸い両親はもう寝ている。豪遊するほどの金はないが、小腹ぐらいは満たせるだろう。財布と携帯をポケットに突っ込んで、俺は物音を立てないよう細心の注意を払いつつ玄関を後にした。


 





 近くのコンビニに向かう途中、頭の中を埋め尽くすのは例の乙女ゲームの事だった。別にルーク王子とのあのシーンが良かったとか、ダンテ王子に詰め寄られた事を思い出していたわけじゃない。気にしていたのは、彼女が言っていた隠しキャラについてだった。


 そいつは俺に似ている人だと彼女は言っていた。けれど似ている、という言葉は不適切だったと思う。なにせ。


「名前、一緒じゃねぇか……」


 何をどう考えたって、悪役令嬢の義弟のアキト=アズールライトが隠しキャラとしか思えないのだから。


 ……何だよアキトって、それは俺の名前だろうが。それを一番お気に入り、だなんて言うのは……思春期の都合のいい頭がどう思うかぐらい、少しは考えて欲しい物だ。




 ああ、本当に俺は馬鹿だ。悶々とした頭で、彼女の事ばかり考えて。




 鳴り止まないクラクションにも、迫り来るヘッドライトにも、気付け無いなんて――

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