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第6話 宴とワイン

「…まあ、今日はとにかく新しいリーダーの活躍を期待して宴としよう」


 皇帝はまるで興味がないといったように会話を終わらせる。


 ユーリはグッと拳を握りしめ悔しさを押し殺した。


 貧しい村や町の国民は魔獣に食べられてもお構いなしってことか・・・ゆっくりと息を吐き怒りそうな心を落ち着かせた。


 合図とともにホールに大量の食事と酒が並ぶ。


 皇帝は改めてヴォイドとユーリを呼び対面させた。


「憧れていたユーリ騎士と飲み交わし戦闘の極意でも教授してもらいなさい」

 

 ヴォイドはユーリの顔をチラリと覗き顔を赤らめ緊張した様子ではにかむ。


 純粋そうなその瞳にユーリは居心地が悪くなり目を逸らした。


 本当に私に憧れているだけなのだろうか?


 騎士に対して忠誠を誓うのは異常だが育った身分ゆえ常識がないのだろうか。


 皇帝は家臣に耳打ちをされそそくさと席をたった。


 残された二人の間には気まずさが張り詰める。


「…ユーリ・クロフォードです」


 流石に先輩騎士として自分から話しかけるべきだとユーリが口を開いた。


「ヴォイド・ブラックと申します。先ほどの自分の行動でユーリ様を驚かしてしまったのなら申し訳ありません…本当に憧れていて…」


 申し訳なさそなうな顔でじっとユーリを見つめる


「別に、気にしていない・・・」


 ユーリは目をそらしグッとワインを一気に煽る。


「ヴォイド騎士・・・酒は飲める方なのか?」


 ユーリはヴォイドのグラスいっぱいにワインを注ぐ。


「飲めなくても飲みます!」


 ヴォイドは嬉しそうにワインを飲み干す。


「今夜はたくさん飲みたい気分なんだ」


「はい!お供します!」


 溢れんばかりの笑顔でヴォイドは返事をした。


 誰だってこんな綺麗な顔に笑いかけられれば嫌な気はしないだろう。


 こうやって王女をも手玉にとっているのかもしれない。


 …私は簡単には信じないが。


 なんだか面白くない。


 こんな純粋そうな男に自分のいるべき地位を追いやられていることも、


 公爵令嬢として皇太子との結婚を求められていることも、


 全てが面白くない。


 稽古をして魔物を討伐する、自分にはそれしかできないのに。


ーこんな日はワインが美味しく感じる。


 この若くて美しい騎士を酔いつぶしてしまえば少しは気が晴れるのだろうか。


 ユーリは微笑を浮かべると、ヴォイドのグラスにワインを注いだ。



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