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第2話 噂の新人騎士

「…くそっ」


 ざわめくホールの中、ユーリは奥歯をぎゅっと噛み締め男を睨んでいた。



 視線の先にいる男の名はヴォイド・ブラック。


 長身で鍛え上げられた体、美しい顔を煌びやかな銀髪が縁取る。琥珀色の瞳は優しげに甘く見たものすべてを魅了した。


「…あの男が噂の新人騎士ですね」

 背後に控えていた金髪の女騎士がユーリに顔を近づけて囁いた。

 

 長身で金髪、華やかな美しさを持っている彼女はユーリの側近イザベラ・エース。

 

 討伐隊では毎年副隊長を務めている。


 ユーリも自分が隣国遠征に行っていた1年間に期待の新人が現れたことは噂で知っていた。

 

 容姿に関しては想像以上だったが、それでも若干18歳の青年が自分より強いとは思えなかった。

 


 ユーリは現在25歳。


 聖騎士団での実力は圧倒的で、5年間他の追随を許したことはなかった。



この国の聖騎士団は主に3つの隊に分かれる。


 ・国の警備にあたる憲兵隊。


 ・王家の警護にあたる聖国家兵隊。


 ・魔物の討伐や他国からの侵略抗戦にあたる聖討伐隊。


 アカデミーを卒業し入隊を希望するものはまず憲兵隊に入隊し聖騎士団の基本を学び下積みを経験する。


 その後、貴族の子息はキャリア組として聖国家隊に配属される。

 聖国家隊は王室警護なので国防が徹底されているこの国では危険の少ない任務だからだ。


 それ以外の実力者は討伐隊に配属される。

 

 他国の侵略はほぼないため討伐隊の主な任務は国を囲む森に住む魔物の討伐だ。


 そしてそれは大きな危険を有した。


 ユーリは公爵家の令嬢だったが圧倒的な戦闘能力を考慮され、討伐隊に配属となった。

 翌年には隊長の座につきそれから毎年、隊長に任命されていた。


 その美しさと強さに国民は熱狂した。


 そしてユーリも討伐隊の仕事が気に入っていた。


 魔物を怖いと思ったことがないし、討伐することで他者を守れるということにやりがいを感じていた。


 実際にユーリが討伐隊長になってからは隊員の死者は激減し、民間人の被害も減った。


 ただし討伐に行く場所が王都中心のため田舎町ではいまだに魔物の被害が出ている。


 今年は討伐遠征に行きより多くの町や村を安全な場所にしようと思っていた。

 

 当然今年も自分が隊長に任命されるだろうと考えていたが、まさかあんな新人に決定権のある役職を奪われるとは。


 ユーリは真っ赤な瞳でじっとヴォイドを睨みつける。


 一体あの男どうやって・・・


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