♯4 決行
ファルフを仲間に加えたライト達は王都へ向かう途中魔物の襲撃にあっていた村を守るために戦っていた
「いくらなんでも多すぎるだろ、ロールの支援魔法あってもキリがない」
ウサギ型モンスター「ビット」の群れに苦戦を強いられる、ビットは刺激しなければ襲ってこない大人しい魔物のはずなのにこんなに攻めてくるなんて異状だ
「ライト、少し離れたところに黒いローブの人がいるんだけどなぜか逃げようとしない」
「黒いローブ…そうかネクロマンサーの仕業か、ファルフ!そこからそいつを狙撃できるか!」
ネクロマンサー、魔物や人間を操り住処を増やす集団であり国からも危険視されている、ファルフの的確な狙撃によりネクロマンサーを撃破した、その後ビットの群れは正気に戻り自分たちの住処へ帰って行った
「ライト何してるの?」
「ネクロマンサーの私物漁りをな、たまにいいもの持ってるって先生から教わったんだ…お?これ魔導書か?」
魔導書を開くと理解できない言語で書かれていた
「攻撃魔法に洗脳魔法…それに転移魔法かぁ」
「ファルフこの文字読めんの!?」
「彼が学者だったから仕事を見てる間に覚えたの」
ファルフが解読してくれたおかげでライトとロールもネクロマンサーの魔法について理解した、そして役に立ちそうな魔法をロールに習得させ着々と復讐の準備が整ってきた
「転移魔法は一度行ったことのある場所にならすぐ飛べるんだよね?」
「手を繋いでおけば仲間が行ったことのある街にも飛べるらしいからな、俺は王都に少し住んでたから飛べるはずだ」
魔法で1番大事なことは想像力、知識がついても想像力がなければ魔法が使えない、ロールはまだ子供なので想像力は誰よりも強い、イメージすればどんな魔法でも使えるはず、俺たち転移魔法で王都へ飛んだ
王都は新入騎士達の入団パレードの準備が始まっていた
「パレードがあるならちょうどいいな、パレード中護衛も少なくなるし警備が手薄になるからな」
「それじゃあ宿で作戦会議しようか」
作戦はこうだ、まず王の演説が始まったタイミングで遠距離からファルフが城の旗を火矢で撃ち抜く、旗が燃えたのを合図にロールがライトを瞬間移動の魔法で真後ろに飛ばす、そしてライトが命を奪う
配置に着いた1時間後パレードが始まった、新入騎士達は行進し街中を回る、その後王が出てきて演説を始めた、始まってすぐファルフは旗を撃ち抜き旗は燃え始めた、住民達がざわついたタイミングでロールに合図し真後ろに飛ばしてもらい抜刀して全力を込めて剣を振ろうとしたその時何者かに後ろから横腹を蹴られ一瞬力が抜けた
「ゲホッ…誰だ…ってお前」
「久しぶり…ってほどでもないねライトくん、まさか君が王様を殺そうとするとはね」
目の前にはかつてのクラスメイトであるアーシャがいた、見ただけで前とは何かが違うのがすぐわかった
「学園を抜け出して何をするかと思ったら…誰とも仲良くしようとしなかったのはもし戦うことになっても躊躇わないため?」
「そうだよ、アーシャだからって邪魔するなら容赦しない」
だがライトの周りには数人の護衛と首席のアーシャ、いくらなんでも分が悪い
(今引いたらチャンスは二度と来ないかもしれない…だったら分が悪くても行くしかない!)
まずは護衛たちに斬りかかった、護衛を任されるくらいだからそこそこの実力はあるが倒せないほどではない、数人の護衛を倒し終え目の前にはアーシャと王の2人
「あとはお前だけだアーシャ、そこをどけ…俺の復讐の邪魔をするな」
「復讐…そっか…あの時の話は君のことだったんだ」
アーシャが剣を抜いた瞬間床から茨が生えライトを縛りあげた
「なっなんだこれ!?」
「この剣は樹竜の角から作られた剣だよ、その力は植物を操る」
本来剣には魔法を宿すことや特殊な力をつけることはできない、だが竜の体の一部から作った剣はその竜の力の一部を使うことができる、茨が体中に刺さりライトの血を吸って花が咲き始めた
「クッぁっ」
「そこまでにしろ、こいつは地下牢に監禁する」
王が静止させたことにより命は助かったがライトは地下牢に監禁された
数時間後、王と側近がライトの牢の前に来た
「たく、俺の命を奪おうとするなんてなぁ」
「お前が俺の両親を殺させたからだろ!?お前のせいで…俺の人生はめちゃくちゃになったんだ!」
「チッ晃輝みたいなこといいやがって、この世界に来てもこんな奴に会うなんてな」
久しぶりに聞いたもうひとつのライトの名前、そしてこの世界に来たという単語が頭に引っかかった
「お前…まさか秀明…」
「へぇ、その名前を知ってるってことはお前晃輝か、借金取りに殺されたって聞いたがまさかこの世界に生まれ変わってたとはな」
秀明…それは晃輝に借金を押し付けて逃げた父親、それを聞いた途端ライトは怒りを抑えられなくなった
「……お前のせいで…お前のせいで前世でも今も人生めちゃくちゃになったんだ!!俺だけじゃない!ロールもファルフも…お前がいなければ…お前さえいなければ幸せになれたのn…グハ」
この世界に無いはずの拳銃で腹を撃ち抜かれた
「なんで…拳銃を」
「俺はお前と違ってこの世界に召喚されたんだよ、警官殺して奪った銃を持っててよかったぜ、お前の処刑はまた今度だ、あの新人騎士にやらせるから楽しみにしとけ」
そう言うと秀明は牢から離れた、ライトは途切れる意識の中ライトは呟く
「ロール…ファルフ…あとは頼んだ…」
「死ぬにはまだ早いよ」
顔を上げるとロールとファルフが目の前に立っていた
「なんで2人がここに」
「ネクロマンサーの魔法に仲間のいるところに飛ぶ魔法があったからそれでここまで飛んだの」
2人はライトの拘束を解いて楽な体制にさせた
「なんで助けにきたんだよ…最後の一人になってもそいつが復讐を果たしたらそれでいいって言ったのに…」
「そんなの守る気最初からなかったよ、まだ少ししかライトのことわからないけど目を見ればライトがいい子だってすぐわかったもん」
「ファルフ…なんか大人だな」
「今更気づいたの?私君よりお姉さんなんだよ」
ロールは回復魔法で腹の傷を治してくれたが完全には塞がらない
「私がもっと凄い魔法使えたらライトを直せるのに…ずっと助けて貰ってばっかりだから役に立ちたいよ」
涙目になったロールの頭をライトは優しく撫でた
「めちゃめちゃ役に立ってるよ、ありがとなロール」
「気づかれる前にどこかに逃げよう、でもこの周辺じゃすぐみつかっちゃう」
「それならいい場所がある、ロール転移の準備頼む」
ファルフがライトを背負いロールの転移魔法で転移した、転移先は木材や瓦でできた家が沢山ある街だった
「ここは?」
「俺のもうひとつの故郷…日の国さ」
to be continued
読んでいただきありがとうございました、声劇の脚本を書いていた影響かセリフ多めになってしまいましたすいません、今回で倒すべき相手がはっきりしましたね!前世と今の共通の敵をライト達は倒すことができるのでしょうか?お楽しみに