#3 誓い
学園から脱走して1週間の月日が経った
「学園の制服って意外と高く売れるんだなぁ、しばらくは魔獣狩りで金を稼いで武器を…ってなんだなんだ!」
街のはずれが急に爆発した、急いで駆けつけると三人の騎士が獣人の少女を追いかけていた
「獣人ってこの辺りにいないはずなのになんでいるんだ、まあ俺には関係ないけど……はぁ…やっぱり放っておけねぇ」
俺は騎士の後を追った、騎士の1人が魔法で少女めがけて魔法を放ち少女はバランスを崩し倒れてしまった
「やだ…来ないで…」
「お前は陛下の所有物になったんだ、どうするかは陛下が決めるさぁ着いて来い」
「男3人いんのに女の子のエスコートの仕方もわかんねえのかよ!!」
少女の腕を掴もうとした騎士の頭に飛び蹴りを食らわせた
「いってぇ…お前何者だ!!」
「王宮の騎士に名乗る名前はねえよ、強いて言うなら無能な国王の殺すために生きる反逆者…かな」
「だったらお前の首を持ち帰ってやるよ!」
騎士が振るった剣を軽くかわし腹に膝蹴りを食らわせた
「下級騎士ならこんなもんか、剣を抜くまでもねえな、ほら逃げるぞ」
少女を抱き上げて走り出した
「クソっ待ちやがれ!」
「…さてとここまで来れば平気だろ、大丈夫か?」
「…大…丈夫」
少女は俺を怖がっているのか涙目で震えていた
「…俺そんなに怖いか?」
「…お父さんとお母さんに会いたいよ…」
「お前の親御さんは今どこにいるんだ?」
「王様のお城に捕まってるの…故郷から無理やり連れてこられて…ぅぅ」
辛いことを思い出させてしまい少女は泣いてしまった、俺はどうすればいいかわからずとりあえず頭を撫でた
「ふぇ…何…」
「いや悪い…嫌なこと思い出させちまったな、とりあえず涙は拭きな、女に涙は似合わないぞ」
「…ありがと、私お城に戻るね…お父さん達に会いたい」
少女は城目指し歩き始めようとしたが俺は腕を掴んだ
「子供1人では行かせない、俺もついて行く」
「大丈夫だよ…ちゃんと謝ればお父さん達合わせてk…」
「合わせてもらえないよ、あの王はそんなにお人好しじゃない」
「…なんで…なんでそんなことわかるの」
「昔俺の両親があいつに殺されたからだよ、平和に暮らしてただけなのに」
あの時のことを思い出し無力な自分に腹が立ち壁を殴った
「無理やり連れてこられたならいい扱いされてるとは思えない、子供を逃がしたなら余計にな」
「…じゃあ…お父さん達は…」
「…かもな…これからの人生お前自身でどう生きるか決めろ、城に戻って殺されるか…逃げ続けながら生きるか…それとも復讐のために生きるか」
そういい俺は彼女に短剣を差し出した
「もし復讐のために生きるならこの剣を取れ、それ以外の道で生きるなら好きにしろ」
「私は……お父さん達の仇をとる!!」
少女は短剣を手に取った
「そうか、ならお前の名前を教えてくれ、俺はライトだ」
「…私…ロール」
「ロールか、よし覚えた、とりあえずずっとそんなボロボロの服で居させる訳にも行かないから服を買いに行くぞ」
数時間後
「わぁ!可愛い!」
「気に入ってくれてよかったよ…長かった」
グゥー
「///」
「なんだ腹減ったのか、なら飯食いに行くぞ着いて来い」
ロールを連れての牛型の魔獣「アバランシュ」が大量発生している草原へ向かった
「はああぁぁ!!」
アバランシュの急所に的確に剣を突き刺し絶命させる
「こいつの肉はなかなかうまいらしいからな、金があんまりないからできるところで節約しないと…さてとロールは今どうなったかな」
俺はロールをアバランシュと戦わせていた、これから人間と戦うかもしれない以上戦い方を叩き込むために
「きゃっ!……怖いよ…」
「おるぁ!!」
再びアバランシュの急所を剣で突き刺し絶命させた
「大丈夫か」
「やっぱり怖いよ」
「ロールには剣は相性悪いっぽいなぁ、とりあえず飯の準備するから手伝ってくれ」
アバランシュの肉を剥ぎ血抜きをした後、学園から持ち出したスキレットで焼く
「命を奪うのって怖いよな」
「ライトもそうなの?」
「最初はアバランシュより弱いやつも殺せなかったよ、同じ生き物だから躊躇っちゃってな」
「でも今は簡単に倒せてたよね」
「生きていく以上他の何かの命を奪わないといけないんだ、だから苦しませず眠らせるために沢山勉強したよ」
ロールは俺の首に手を回してきた
「ライトはすごいね、私そんなに心が強くないよ」
「これから強くなればいいんだよ、ほら焼けたぞ熱々のうちに食べな」
「ありがと」
その後俺たちは近くにあった洞穴で野宿し夜が明けてすぐ王都から少し離れた街へ向かった
「ここにすごい武器職人がいるって噂を前に聞いてな、ロールの武器を選んでもらおうと思ったんだ」
「でもお金」
「昨日のアバランシュの皮って色んな用途に使われるから高く売れるんだよ、だから売ってから武器屋に行くぞ」
皮を売り終わり武器屋へ向かった
「いらっしゃい、どんな武器が必要なんだい」
「この子に合う武器を探してるんだけど、おすすめとかありますか」
「犬族用の武器かぁ、嬢ちゃん少し手のひらを見せて貰えねえか」
そう言うとロールは手のひらを見せると武器職人のおっさんはロールの手をじーと見つめた
「こいつは驚いた」
「何かわかったんですか」
「この嬢ちゃん相当な魔力を持ってるな、王宮騎士団の魔道士にもここまで魔力を持ってるやつは見たことねぇ」
「魔力?」
「魔法を使える力のことだよ、ロールは魔道士…いや魔法少女向きってことだな」
「ちょいと待ってな」
数分後おっちゃんは店の奥から水色の魔法石の着いた杖を持ってきた
「こいつは俺の自信作だが誰もこいつを使いこなせなかった…でも嬢ちゃんなら上手く使えるかもな、手に取ってみな」
「……どうすればいいの?」
「目をつぶって集中するんだ、体中の力を杖に流し込むんだ」
ロールは意識を集中させ杖に魔力を注ぎ始めた、すると少しづつ杖の魔法石が輝き始めた
「そこまで!」
突然の大声に驚いたの魔法石の輝きが消えた
「そいつを光らせただけでも大したもんだ、気に入った!その杖は嬢ちゃんにやるよ、金はいらねえ」
「本当にいいんですか?」
「構わねえよ、ついでにあんちゃんの剣も調整してやるよ、一日だけ武器を預けてくれねえか?」
「わかりました、お願いします」
「任せとk…これ誰かの叫び声か」
次の瞬間店の窓から血まみれの男が投げ込まれた
「大丈夫ですか!?」
「…脈がねえ、心臓も止まってる…なんてひでえことを」
「…おっちゃん、一旦剣を返してもらう」
武器を取り店の外に出ると一人の金髪の女性が王宮騎士に捕まっていた
「クッ離してよ!!」
「ダメだ、お前を王宮に連行するように王命を受けたんだ大人しく着いてきてもらうぞ」
「…はぁ…お前らまた懲りずに誘拐かよ」
「お前は昨日の!俺たちは王命でこの女を連れて行くように言われたんだ!!」
「騎士なんだからもう少し紳士らしい振る舞いをしろよ、そんなやり方だとただの賊だぞ」
「うるせえ!お前戦っても意味がねえ引くぞ!」
騎士達は女性を連れて逃げ出した
「ロール、魔法の練習だあいつに魔法を食らわせてやれ」
「さっきみたいにやればいいの?」
「ああ、ただしあいつらの動きを止めるって念じながらやってみろ」
「うん!」
ロールは杖をかまえ魔力を流し始めた、すると魔法石の色が水色から紫に変化し始めた
「足よ…止まれ!」
そう叫ぶと騎士達の足がピタリと止まった
「足が…動かねぇ」
「この子は返してもらうな…とりあえずこいつらは縛るか」
数分後
「お姉さん大丈夫?」
「この人…私の婚約者なの…騎士達はこの人が婚約者ってわかった途端彼を殺したの…」
「戻ったぞ」
「ライトおかえり」
「あいつらを尋問して話を聞いてきた」
騎士達いわく、「あの女を連れてこい、そいつの婚約者は罪人だから殺して構わない」とのこと
「彼は罪人なんかじゃありません…誰よりも優しい素敵な人なんです…」
「そんなことわかってるよ、もし罪人だったらあんたはそんなに悲しまない」
「お姉さん、名前教えて」
「私はファルフよ、あなた達は?」
「俺はライト、この子はロールだ、俺たちも王に恨みがあるからあんたの気持ちは痛いほどわかるよ」
ロールはファルフに抱きついた
「泣かないで」
「…ありがとねロールちゃん」
その後武器屋に泊めてもらい心と体を休めた、次の日
「俺達は情報収集のために王都に向かう、あんたの婚約者の仇も取ってきてなる」
「…私も連れていってください」
「いいのか、俺達に着いてきたら後戻りはできないぞ」
「構いません、連れていってください」
「わかった」
俺は剣を2人の前に突き出した
「約束しよう、もし最後の一人になったとしてもその1人が全員の復讐を果すって」
「…うん!」
ロールは剣の上に杖を重ねた
「私も誓います」
「なら敬語はなしな」
「…うん、わかった!よろしくねライト、ロール」
ファルフも剣の上に武器を重ねようとしたが
「…私武器なかった」
「ならこいつを持っていきな」
武器屋のおっちゃんはファルフに鳥の紋様が書かれた弓矢を渡した
「今後あんちゃん達がお尋ね者にされることもあるだろう、だが俺はあんちゃん達を信じてるぜ、困ったらまたうちに来い」
「ありがとな、おっちゃん」
ファルフも弓を剣に重ねた
「背中は任せたぜ2人とも」
「うん!」
「任せて!」
to be continued
読んでいただきありがとうございました、新キャラのロールとファルフの登場で今後少し急展開が続くかもしれませんがまだまだ未熟な僕を優しく見守ってくださると嬉しいです