メリリッサ~私の素敵なお人形~
本当はミヨが欲しかった。
あの娘は見た目が少し田舎くさいくせに、妙にファッションに詳しかったから。
一度、化粧とドレスの支度を任せてみたら、些細な違いのはずなのに、他の侍女の誰よりも洗練された出来だった。
あれなら私のために役に立つと、ガランドーダへ連れて行ってあげようと思ったのに、何故かしらいつの間にかリリコットの側に付いていた。
なんていう、要領の悪さかしら?
だったら、いらないと思って忘れることにした。
それから、ハンナも、まあ欲しかった方だ。
あの娘は私たちの乳姉妹だから、何をしても言うことを聞く。
小さな頃、リリコットに川でたっぷりと遊んでもらおうと思って、ちょっとだけ後押ししてあげたことがあった。
思いのほか川の流れが早くて、それでも流されまいとリリコットが必死で木の枝を掴んでいた時も、助けてはダメよといえば、泣きそうな顔で堪えていた。
あの姿はとても面白かったから、今でも何度も思い出しては楽しんでいる。
せっかくそうやって可愛がって上げたのに、やっぱり付いてこなかった。
仕方がないわ。ハンナの姉であるカーラがどうしても私に付いてきたいと頼み込んできたのだから、さすがに姉妹ともこちらに付けてしまうのは、リリコットが可哀想だ。
私も姉として心苦しいから、ハンナくらいは譲ってあげるの。
あとは……そうね、赤い髪の、何だったかしら?護衛騎士がいたわね。
私はあんな無口な男はどうでもよかったのだけれど、ロックス様が、あれはいいなと言って、連れていく気になっていたけれどもついて来なかった。
まあ、どうでもいいことだわ。
それよりも、そんなことよりも、本当に私が欲しかったのは、そんなものじゃなかった。
唯一で、他には代わりのない、私のとても大事なもの。
でも、どうしても一緒に連れていくことは出来ないと、泣く泣く諦めたのだ。
私もこの春に18になった。もう、お人形遊びをする年ではない。
だから、さようなら、リリコット。
とても愛していたけれど、貴女だけは一緒に連れて行くわけにはいかないわ。
これからは、私が貴女になるのだから許してね。
私の可愛いくて素敵なお人形、最後まで壊れなかったのは貴女だけだったわ。




