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プロローグ


俺の名は平沢とものり、二十五歳、無職であり、童貞であり、最近俗に言われているさとり世代の人間である。別に童貞のところは要らないのだが一応の報告である……。

そんな俺は特に刺激も無く、極めて平凡な人生を送っていたが、

ある日突然人生を左右する出来事が訪れる。

それは朝起きた時、泊まりに来ていたニート仲間である友達のよしゆきが貯金の三百五十万を盗んだ事から始まった。

その大金は母親一つで育ててくれた母さんの死と共に懐に入った最後のお金だった。

そしてその大金と一緒に送られていたのは母さんが残した最後の手紙だ。


―――とものり、これが渡ったって事は母さん死んじゃったのね。もう命も長く無いって先生に言われてたのよ。最後にこのお金を渡すから頑張るのよ、母さんとの約束。


最初その手紙を見た時は涙がポロポロ床に落ちた、そして俺は心に誓う。

変わるんだと、しかしそんな母さんの思いを裏切るかのように自堕落な日々を過ごし、今に至るのだ。


そんな俺の状況は時間が経つにつれ深刻さが増していた。

なんせ俺はニートだ、一度ニートに陥った者がそう簡単に働く気力が沸くだろうか?

答えはNО、例え力尽きようと働く気は一切起きないのだ。

とはいいつつ……腹の虫が鳴る度に命の危険を感じた俺は、とりあえずインターネットであれこれ働き手を調べてみる。


生活保護についてもあまり詳しくは無かったが、調べればきっと見つかるはずだ。

先進国なので屑の救済措置くらい国が何とかしてくれるだろう。

Web検索していくとカーソルを一番下にまで持っていく。

俺は天邪鬼な性格なのだ、一番上から見ようとはしない。


そしてハローワークの下に載ってあったサイトは『誰でも簡単に稼げる』といういかにも胡散臭いタイトルである。詳細にはちゃっかり食事付きのバイトとまで書かれていた。そしてカーソルを目的の文字の処へと合わせ、それをダブルクリック。


開いた先はニートの俺にとって、うんざりさせるような求人アルバイトサイトだ。

そして簡単に稼げると書かれたそのバイトの内容は一切かかれておらず、面接場所は派遣会社という可能性が高い。

この手のサイトは本当に細部まで書かれていないから腹が立つ。

しかし日給は三万と書かれていた、拘束は八時間。

このアルバイトサイトは見た事も聞いた事も無かったため、少し怪しかったが空腹の限界からして迷っている暇は無いのである。死に対しては恐怖感は無かった、しかし空腹感に関してはまた別である、苦しんで死ぬのは御免こうむる。


ていうかニートの癖して何が生活保護だ、交番に行けばサンドイッチの一つくらい奢ってもらえるかもね。

とりあえず迷わず俺は電話をする、女の人なら行こう、男ならやめよう。

そういった駆け引きを心の中で呟いていると、出たのは声が可愛い女性だ。

内容は今日からでも大丈夫なようで、最寄駅で待機していれば車で送迎をしてくれるのだとか。

外出する時の服とズボンの特徴を相手に教えてしまった時は怪しさ全快だったが、久々にした女性との会話である。ここはかっこよく行くべきだと思ってつい教えてしまった。

そしてこの選択肢が間違いだったと気づくのは数時間後である。



最寄駅に着いた俺はスマホをポチポチ押しながら待機していた、緊急ミッションがその時間と被っていたのだ。

昔スマホをいじりながらポケ○ンを捕まえに路側帯を歩き回っていた事があったが、それを婆さんに注意された事があった。

それに対して腹を立て、SNS上で老人批判をしていた時期もあったが、その事が正しかったと気づけたのはこの後直ぐである。

何せ忽然と姿を現した外車が、明らかなスピード違反を犯したのに気づけた時にはもう手遅れで、車が身体の間近くまで距離を詰めたからだ。

運転手はぐーすかと眠り、俺は手に握ったスマホから目線を逸らし、体を右方に飛び込もうとする。しかし、体がそんな超速に対応出来る訳は無く、身体は動く事が無く無駄にあり余った死に際の考える時間だけが残る。

その時考えていたのは然程大した事では無かったが、自分はこれから死ぬんだな、という死の受け入れである。

そして俺を助けようと試みる救世主や、ラノベ特有の謎の美少女なんかは当然ながら現れる事は無く、条理通りにトラックは俺を跳ね飛ばし、死んでしまう。



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