第2話/復活の根暗探偵
「またまた〜、とぼけちゃって。本当は桃瀬さんの事好きなんでしょ」
「だからぁ、俺には好きな奴なんていないっての!」
登校して席につくなり疾風宮がひょこひょこ寄って来て、何故か好きな人の話をしてきた。桃瀬が他の場所にいるのを良い事にある事ない事を好き勝手に喋りまくっている。
鬱陶しいったらありゃしない。
こういう厄介な質問は同じ質問を返すのが1番、って心理術の本に書いてあった。
「それよりお前はどうなんだよ。今まで15年も生きて来たんだからホレた女の1人や2人いるんじゃねーの?」
その質問に特に意味はなかったのだが、疾風宮が肩をビクンと震わせ、仄かに頰を赤く染めた事で、俺は色々と悟ってしまった。
別にコイツの好きな奴なんて知りたくもなんともないが、
俺を散々困らせた罰だ。同じ苦しみを味わいやがれ。
俺は、疾風宮の頰を指でツンツンしながら甚振りにかかった。
「オイ、どーなんだ。いるだろ? いるんだろ? ん? どのクラスだ? 吐け。さっさと吐いちまえよ」
「あぅぅぅぅ……。中学校の頃の同級生」
疾風宮は耳まで真っ赤になって正直に白状した。
そんな泣きそうな目で俺を見るな。
もっといじめたくなってきたじゃねーか。
「で、どのクラスだ?」
「ふぅぅぅぅ……。中学卒業してすぐにお父さんの仕事の都合でイギリスに引っ越しちゃったから、この学校、いや、もう日本にはいないよ……」
「あっそ。随分詳しいのな」
「ふぇ⁉︎ い、いやこれはクラスの皆が知ってる情報って言うか……。僕なんて雪沙さんからすれば只のクラスメイトって言うか……」
疾風宮は、いつになく挙動不審だ。こいつイジるの楽しすぎ。よく分かんないけど大体分かった。
根暗探偵狼月灰の再降臨だ。
「お前は“雪沙さん”にホレた。でもそいつは人気者の、いわゆる高嶺の花。お前みたいな冴えない3軍男子はなかなかお近づきになれない。それで結局、もう会えないと知りながら想いを伝えられず、それを今更後悔して何の罪もないクラスメイトに絡んで発散して今に至る、的な感じで合ってる?」
「うぅぅぅ……その通りです……。今日、夢に雪沙さんが出てきて、それで思い出しちゃって……」
半分勘だが全部当たっていたようだ。
迷惑な話だ。
と、壁に付けられたスピーカーから1日の始まりを告げるチャイムが鳴り、俺達に席につけと言った。
疾風宮はトボトボと自席に戻っていった。
ケッ、ざまーみろ




