第7話/可愛い顔した悪魔
「灰……家でなんかあったの?」
ふぎゃ、何でそれを……。
確かに今朝はなんかあったが、桃瀬には言いたくない。
きっと、姉貴の100倍バカにされる。
「と、特にないけど。何で?」
「目……涙拭いた跡があるよ」
うう、何でそんな細かい所まで気付くんだよ……。
スゲーな、女って。
「何でもないって。多分欠伸した時の涙だよ」
「……ホントに?」
「ああ本当」
「ホントに大丈夫なの? 1人で何か抱え込んでない? 私で良ければ何でも相談に乗るよ?」
凄い心配そうだ。
本気で心配してくれてありがたいやら心苦しいやら。
でも嬉しい。何かあったら相談してやるよ。
「大丈夫だって」
「ホントに?」
「本当に」
「ホントのホントに?」
「ああ本当の本当に」
ぱっと桃瀬の顔が明るくなった。
「大丈夫なんだね! じゃ、英語のワーク取り行くの手伝って!」
ああ……そうだった、桃瀬はこんな奴だった。
* * *
1時間目 数学ⅰ
分かんないィィィィィィ
ダリィィィィィィィィィ
俺は文系脳なんだよぅ……。
ジジイとお話でもしてやるか。
『やっほージジイ、生きてる?』
『う、ああ灰か……』
朝とは打って変わって弱々しく、元気のないジジイ。
別人のような急変ぶりに流石の俺も心配になってくる。
『どうしたジジイ、元気無いな』
『ああ……久し振りに力を使い過ぎたみたいだ。ゲホゲホッ。これじゃ当分実体化も会話も出来ないな……ありがとよ、心配してくれて』
そうだった。
ジジイはもはや魂だけの身。俺からすれば当たり前の会話だってジジイにとっては大きな負担。そんな事も考えられずにただ自分の都合だけを考えていた。
『無理して話してくれてたんだ。……ごめん』
『いや、別に会話自体は大した力は使わないんじゃが。やっぱりアレじゃな。電車の中でお前にかけた神経魔法じゃな。アレで力を使い果たしたんじゃろう』
『……心配して損した。さっさとくたばれクソジジイ』
……とまぁくそ面白くもない午前が終わり、昼休みの時間になる。
気まぐれな母は弁当を作る日と作らない日があり、今日は後者だ。
食堂で焼きそばパンでも買って食べるか。
面倒くさいが意を決して食堂に行こうと立ち上がろうとすると、聞き慣れた声がした。
「灰君、ひとり? 一緒に昼食べよ」
疾風宮だ。
「俺は食堂行くけど、それでも良いなら」
「いーよ」
俺は財布を持ち、疾風宮は弁当箱を持ち、俺達は教室を後にした。
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