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第6話/例え方がヘッタクソ


「やります……!」


 おいおいマジかよ。


 俺は、疾風宮がこんな胡散臭くて変な話に乗るとは全く思っていなかったので驚き、焦った。


 華奢な身体で背は低く、喧嘩や戦いが好きとはとても思えない中性的な垂れ目。こんな奴に怪物との戦闘なんて務まる訳がない。


「ちょっと待てよ疾風宮。お前、正気か? 何でこんな変な奴の言うこと信じるんだよ? やめとけって」


 俺は疾風宮を説得し考えなおさせようとしたが、なぜか声が出なかった。


 いや、これは麻痺魔法で喉の筋肉をやられてる……のか……⁉︎


『大丈夫。君の友人を悪いようにはしないから、少し黙っててくれ』


 こいつ……脳内に直接………!


 クソ、疾風宮……。


「心配は要らない。君の魔力適合値は七八%だ。難なく使いこなせるさ」


 俺の口を封じて仕上げに入る黒岩。


「黒井さん。ええと、その『魔力適合七八%』ってすごいんですか?」


 疾風宮は俺も気になっていたもっともな疑問を口にした。



 一瞬、ほんの一瞬だが黒岩の顔が引きつった。


「……それは………まぁ…………人間にしてはなかなかすごいなぁ〜って感じだ。将棋で表すとすればアマ二級ぐらいかな」


 そんな例え方されても全然ピンと来ねぇよ。


「で、それは強いんですか?」


「分からない事があったら追々説明していくよ。それじゃ、“勇気ある魔導士”、世界を救ってくれたまえ」


 黒岩は半ば逃げるようにそう言って、まるで蜃気楼の様にゆらり、と消えた。


「アマ二級って、強いのかなぁ?」


 疾風宮がぽつりと言った。




 極力こいつも巻き込みたくなかったが、こうなってしまった今、こいつにも真実を伝えた方が良いだろう。


「ねぇ、灰君。将棋のア」


「なあ疾風宮、聞いてくれ。実は俺も闇と炎の魔法を使って街に出てくる怪物を退治してるんだが……オイ何だその哀れみの目は」



 一時間かけて疾風宮の誤解を解いたのだが、どう言う訳か俺ん家で勉強会を開催することになった。ああ、なぜこうなった。




* * *




 ふう……彼で九三人目。ようやくヒットした。自分で言っておいてこんな事考えたら身も蓋もないが、よくもまあこんないかがわしい話を信じたものである。


 疾風宮とか言う奴はよっぽど素直なのか、ただの馬鹿なのだろう。


 それに、


「狼男が、この街に……クク、面白い」


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